ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

大企業神話が崩壊した今だからこそ大企業を目指すべき人もいる

転職のハードルがここまで下がると、「自分にあった仕事や生き方を選んでいきたい」という要望は日本人の多くの人にとって実現可能な選択肢になってきています。これから就職活動を控えている人、あるいは転職を検討中の方の中には、一定数「大企業に入る」という選択肢を考えている方もいらっしゃるはず。
 
 
今回の記事では、「大企業の安定性に興味があるが、ネガな意見も聞こえてくる中、どう捉えたら良いのか考えを深めたい」という方に対して、自分自身が新卒で日系の大企業に入社し、試行錯誤の末、独立を選んだ経験から「大企業が勝ち組の選択肢である時代は終わったよ!」「でも、本気で目指したいなら、こんなことを考えてみると良いと思うよ!」ということをお伝えしていきます。
 
  

 
 
 
 

大企業神話崩壊。大企業を選ぶ理由は激減

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結論から言えば、「一流大学卒業→有名大企業就職が人生の勝ち組」という時代は終わりました。「終身雇用制度は維持できない」という趣旨の発言が大企業トップから相次ぐ令和の時代、大企業に就職することは盲信できるコスパのいい選択肢では既になくなっています。


大学生の間でも「とりあえず大企業に入っておけば安泰だろう」という意識はいまだにあるかと思います。しかし、その意識で道を選ぶと人生苦労しそうです。10年前、いまのアラサー世代が学生だった頃はその発想で会社を選ぶ人が大半でしたが、ボーナスが業績連動に変わったり、働き方改革で残業の制限があったりして、すでに「あれ、なんかおかしくない?」とみんなが感じ始めています


終身雇用が崩壊して雇用が流動化すれば、大企業でも必要なスキルはどんどん中途採用で獲得するようになります。制度さえ追いつけば、入る人が増えれば出る人も増えますので、組織に貢献できない人は職を失います。賃金もスキルや貢献度に合わせて設定されますから、解雇とまではいかなくとも、能力のない人は賃金面で確実に苦労します。


「大企業は給与がいい」
「大企業は福利厚生がいい」
「大企業は潰れない、食いっぱぐれない」


こうしたメリットが、大半の大企業では現実問題としてなくなり始めています。「大企業が圧倒的勝ち組」ということはありえず、大企業を選ぶメリットも相対的には減ってきているのが実態です。



それでも大企業には魅力がある

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人生の一部を大企業で過ごすのは決して悪い選択ではない

ここまでは「大企業神話は崩壊した!」という比較的ネガティブな話をしてきました。が、それでも自分をよく理解して明確な作戦さえ建てられれば、人生の一部を大企業で過ごすのは決して悪い経験ではありません


「生涯の安定」を求めて大企業に入るのは、上記の通り、明らかな選択ミス。しかし、「大企業を使って、そこでしかできない経験を積む」という作戦で大企業に入るならば、十分魅力ある選択肢です。
※なお、本筋からは脱線しますが、「生涯の安定」を得ようと思えば「何があっても稼げるスキル」を身につけておくことが重要だと思います。社会環境が変化していく中でも、しっかりと自分の価値を創ってお金に変えることがスキルとして身に付いていれば、それが変化の中での安定(要は、大きく落ちこぼれることがないということ)を生み出してくれるという考え方です。
 
 

大企業に就職・転職するメリット

では、「大企業でしか得られないキャリアを積む」というのはどういうことでしょうか? 実際に大手の広告会社で働いていた経験から言えることとして、大企業に就職・転職するメリットには次の様なものがあります。
 
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(1)企業ブランドで大きな仕事にチャレンジできる!
大企業就職の一番の売りはブランドです。「誰もが知っている会社」「信頼性がある魅力的な会社」の看板を背負うことで、実力がない若手のうちから身分不相応な大きな仕事を担当することができます。

「仕事のチャレンジなら小さい会社でも出来るのでは?」と思われがちですが、無名の会社の場合、仕事をつくる段階において、そもそも社外の然るべき人に会うところまでたどり着くことが大変です。うまくやらなければ「知らん会社が何かセールスにでも来たか」と思われるのが関の山です。

大企業の場合、名刺さえあれば取り敢えず相手は会ってはくれます。もちろん、そこから仕事が作れるかは提案次第ですが、そのチャンスが圧倒的に多く、また成功させやすいのは大企業です。若手のうちから大きな仕事にチャレンジし、自分を成長させたい人こそ、大企業はおススメです。


(2)業界トップレベルのスターと直接すぐに繋がれる!
次に、大企業には「こんな凄いが人いるのか…!」と思えるスタープレイヤーが必ずいます。そうした人とすぐに繋がれるのが大企業ならではの強みです。

もちろん、どんな組織にも「この人すごいなあ」と思う人は一定数いるものですが、大企業の場合その優秀さのレベルがズバ抜けています。「こんな優秀すぎる人がなんで会社にいるんだろう?」と目を疑う人が普通に社内にいて、ノーアポで会いに行ってつながりを持てるのは素晴らしい環境だと思います。「この道のすごい人に会いたい」と、自分が狙いを定めているテーマ・業界があるのであれば、そこの最大手に就職するのはいい選択です。

反対に、大企業に入る以外の方法でこうした人と出会うにはどうすればいいかというと、実際はかなりの難しさがあります。社外からも見えている「この人すごい!」という人は既に業界の有名人ですので、なかなか接点が持てないか、持てても「大多数のうちの一人」として扱われるところからのスタートです。また、「本当にすごい人」というのは実は有名人ではないことも多いのです。会社のブランドはチームで作られており、「目立つ人=価値を生んでいる人」ではない場合は非常に沢山あります。内部にいるからこそわかることだと思います。


(3)「会社員タイプ1・2」の両方が一社で経験できる!
また違った視点からですが、こちらの記事で紹介した「会社員タイプ1・2」の両方を、つまり、事業開発と請負業務の両方を1つのキャリアの中で体験できる可能性があるのも大企業ならではです。
 
<参考「これからの時代の4つの生き方」>
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実際、私の場合は、広告会社で通常業務として受注型のクライアントワークは日々やっていましたが、加えて、所属部署を越えて積極的に社内外の人と提案・連携しながら新たな案件を自分で作ったりもしていました

大企業では「これやって」という仕事が無限に降りてくるため、漫然と過ごしているとタイプ2の仕事しかできません。しかし(1)で述べたように会社のブランドを最大限活用し、積極的に企業の中も外も飛び回ることによって、新しい仕事をつくることも可能です。組織の規模が小さいということは、その組織が担っている業務領域が広くないということ。すなわち、潜在的に眠っているチャンスも小さいということです。会社員タイプ1の仕事がしたければ、大企業で積極的に動き回るという道があります
 
 
 
 

大企業を目指すべき人とは?

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大企業適性が高い人材像

では、ここからは「大企業神話が崩壊した今だからこそ大企業を目指すべき人とはどんな人か?」というところです。結論から言えば… 
 

大企業神話が崩壊した今だからこそ大企業を目指すべき人
▼適性
約束を守ることが得意な人
集団行動が苦ではない人
 
▼狙い
短期で自分の可能性を拡げたい

 
「適性面」と大企業でキャリアを積むことへの「狙い」の2つの観点から整理しています。


適性としては、「約束を守る」というのは大企業において非常に重要な要素です。1つの大きなシステムとして仕事が流れる大企業では、振られた仕事を一定の納期内でやりきることが、仕事の品質以上に信頼を勝ち得るポイントです。仕事を忘れない、すっぽかさない、納期通りにきちんと返すといった、当たり前のことをやりきることが得意な人は、大企業の適性が高いです。


また、大人数で大きなプロジェクトを回すことも多いため、「集団行動が苦ではない」ことは重要です。決して集団行動が得意である必要はありませんが、多くの立場や経験の違う人としっかりとコミュニケーションを取り、意思疎通を図りながら円滑に仕事を進める能力が求められます。これが、コミュニケーション力の基礎です。


これらの適性を見ると、小さくまとまったおとなしい人をイメージされるかもしれませんが、そういう人は大企業には向きません。なぜなら、上記で挙げた大企業のメリットを何も活用できないからです。大企業を目指すべき人はむしろ逆で、「短期で自分の可能性を拡げたい」という野心がある人です。表向きはしっかりとやるべきことをこなしながらも、表には必ずしも出していない、「本当は自分は将来こうなりたい」という明確な意志があることが何よりも大事です。大企業に入るというのは、そのための通過点であり、1つのキャリア・経験に過ぎないと割り切って仕事ができる人が、最も大企業に向いている人です。そうした人が、最も大企業のメリットを引き出すことができます。
 
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大企業に就職・転職するためには

ここまで読んで「自分は大企業向きだ!」と思った方は、ぜひ以下のことも心がけてください。

①「自己分析」に時間をかける

「自分はなぜその企業に入りたいのか?」「自分は適性があるか?」「その企業では何年で何を経験するのか?」といったことを明確にすることが最も重要です。「自己分析」に時間をかけ、人生の狙いを明確に定めましょう。

②このブログのテーマである、ベーススキルである「論理的思考」は必須

いわずもがなですが、大企業では「論理的思考」の能力が高いレベルで求められます。特に、周囲とコミュニケーションを取って共通理解を作りながら仕事を前に進めていくというのは、論理的思考がなければ不可能です。ぜひ、以下の記事を参考にしながらトレーニングを繰り返してください。
 
ロジカルシンキングの核心は結論と理由│論理的思考の苦手克服トレーニング - ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考のトレーニング
 
自己分析や一通りのトレーニングと並行して、その先にどんな企業があるのか、自分にあっているのはどんな会社なのかを突っ込んで検討する上では、こんなサービスもあります。



 
人数に上限はあるようですが、自分にあった就職先を面談を通じて相談しながら見つけていきたいという人にはいいかもしれません。無料ですし。
 
 
 

おわりに

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「大企業神話は崩壊した!」というところから、「それでも大企業は悪くないよ!」「こんな人にはぴったりだよ!」ということを書いてきました。自分の実体験としても、また、周りの仲間達を見ても、この記事に書いたことは自信をもって言い切れることですので、興味があった方の参考になればと思います。
 
 
大企業において、ベーススキルとしての「論理的思考」が重要であることは間違いないので、ぜひ次の記事で論理的思考の全体像も頭にいれながら、スキルアップを続けていただければと思います。
 
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