ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

因果関係の思考を鍛えるには?│「原因と結果の論理」の実践方法

このブログではとにかく「原因と結果の論理」を押しています。論理的思考というテーマの中でもこの因果関係の思考だけは別格で、「具体と抽象の論理」「分析と総合の論理」はあくまで情報整理が主たる目的になりますが、「原因と結果の論理」は現実をどの様に変化させていくかを考察する考え方。うまく使いこなせればすぐに様々なメリットが享受できてしまうのです。


そこで今回の記事では、「原因と結果の論理ってどうやって実践するの?」というところを明らかにしていきます。核となる実践方法そのものは非常にシンプルですが、実際にやり始めてみると非常に奥が深い世界です。一歩ずつ、進んでまいりましょう。


ということで、今回の記事では
 

・「原因と結果の論理」をしっかり学んで実践できる様になりたい!

 
という方を対象に
 

◆「原因と結果の論理」とは何か?
◆「原因と結果の論理」は具体的にどの様に実践したらいいのか?

 
といったところをわかりやすくご紹介していきます。
 
 

 
 
 
 

「原因と結果の論理」とは?定義と実践方法の紹介

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複数の事象を因果関係で結びつける論理

「原因と結果の論理」とは「複数の事象を原因と結果の因果関係で結びつける論理」です。因果関係は時系列的な変化を前提とするため、この「原因と結果の論理」は「動的な論理」に分類されます。
 
 
具体的には
 

・雨が降った【原因】→地面が濡れた【結果】
・定期テストの得点が30点だった【原因】→親に叱られた【結果】

 
といった具合です。
 
 

因果関係を明示するベストな方法は?

「分析と総合の論理」にはロジックツリーという手法があったように、「原因と結果の論理」にも因果関係の思考を促す適切な手法があります。それが、次の本で紹介されている「ブランチ」です。
 

考える力をつける3つの道具

考える力をつける3つの道具

 

「ブランチ」
ブランチは、「ボックス」「矢印」「バナナ」の3つのツールを活用したシンプルな方法である。
▼「ボックス」(または「箱」)
事象を書き入れる。原因や結果となる事象を示すために使う。
▼「矢印」
原因と結果の論理的なつながりを示すために使う。
▼「バナナ」
複数のことが重なって、次の事象が引き起こされていることを示すために使う。
【出典】『考える力をつける3つの道具』(ダイヤモンド社/岸良裕司 著)より引用

 
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「ブランチ」の実践例

「ブランチ」の実践例は次の通りです。
  

例①:雨が降った【原因】→地面が濡れた【結果】

 
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例②:定期テストの得点が30点だった【原因】→親に叱られた【結果】

 
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「ブランチ」でなければできないことがある

ここまでであれば、ただ単に「→」の前後(上下)に事象を書き出しているだけに見えます。しかし、ブランチが優れているのはここからです。ブランチが特に優れているのは、「因果関係の理由を記述できる」というところにあります
 
 
例えば、上記の例②について、親に叱られた理由が「勉強せずに遊んでばかりいた(結果、当然のごとく悪い点数になった)から」だとすると、ブランチでは以下のように記述することができます。
 

例②-2:「定期テストの得点が30点だった」かつ「勉強せずに遊んでばかりいた」【原因】→親に叱られた【結果】

 
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確かに、30点という点数だけでは叱られた理由は明確ではありません。原因として得点だけを記載していても、因果関係の説明としては不十分だったわけです。そうした中でも、この様に理由を原因の側に置いてバナナでつなぐことで、因果関係を精確に記述することができます
 
 
ここで大切なのは、バナナで繋げられた2つのボックスは、いずれかが欠けてもその結果は起こらないことを表しているということです。どういうことかと言うと、「定期テストの得点が30点だった」と「勉強せずに遊んでばかりいた」の2つの原因が同時に揃ったから親に叱られたわけであり、いずれか一方が欠けていた場合には、親に叱られなかったということを示しています。
 
 
例えば、「定期テストの得点が30点だった」ではなく「定期テストの得点が100点だった」ならば、「遊んでばかりいた」としてもこんな結果になるかもしれません。
 

例②-3:「定期テストの得点が100点だった」かつ「勉強せずに遊んでばかりいた」【原因】→親に叱られない【結果】

 
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あるいは、「定期テストの得点が30点だった」としても「必死に努力して勉強していた」ならこうかもしれません。
 

例②-4:「定期テストの得点が30点だった」かつ「必死に努力して勉強していた」【原因】→親に叱られない【結果】

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大切なのは、「ある一つの事象だけでは結果を説明できない」ということ。必ず結果は複数の原因の組み合わせで起こっており、それをわかりやすく記述できるのがブランチの優れたところです。
 
 
「結果に対する原因は1つではない」ということについては、以下の記事に詳しく書いていますので、そちらもぜひご参照ください。
 
経営者が20代のうちに知っておきたかった「ロジカルシンキング」の基礎の基礎① ~「2つ目の原因」を語れ~ - ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング
 
 
 
 

「ブランチ」を活用するメリット

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厳密に因果関係を定義できる

ブランチなら、上述の様に因果関係の中に「なぜそれが起きると言えるのか?」の理由を明示することができます。因果関係の分析の中で理由が明示できるようになると、そうでなかった場合に比べて因果関係をより厳密に定義できるようになります


例えば、理由を示さずに「定期テストの得点が30点だった【原因】→親に叱られた【結果】」と説明すると、現実的には「テストの得点が30点だった場合でも、親に叱られない場合もあるのでは?」という疑問・批判に十分に答えることができません。仮に世の中の親子を100組連れてきたとして、上記の因果関係通りの結果が起きるのは何組あるでしょうか?きっと、叱る親もいるでしょうが、叱らない親もそれなりにいるのではないかと思います。


一方、「『定期テストの得点が30点だった』かつ『勉強せずに遊んでばかりいた』【原因】→親に叱られた【結果】」と条件・理由を明確にした場合、「親に叱られた」という結果が再現される可能性は飛躍的に高まるでしょう。ここに更に「前回のテストも点数が悪かったため、今回はしっかり勉強をするようにと親に言われていた」という条件が加われば、更に因果関係の再現性は高まるはずです。
 
 

再現性のある仮説・理論を作れる

従って、ブランチを使うことによって誰でも簡単に再現性のある仮説を作ることができるようになります。「起きるか起きないかわからない、個人の思い込みで作った仮説」と「前提条件や理由が明確にされ、何度も実証されている仮説」のどちらが価値が高いかは、改めて言うまでもありません。


明確に根拠が示され、実証が繰り返されて再現性が確認された仮説は、その後1つの理論として確立していきます。自然科学の学問の世界では当たり前のことですが、ビジネスの世界でも同じ様に、科学者のように考えながら仮説をつくり、実証していくことが可能になります。
 
 
実際に再現性の高い仮説を構築できるようなっていくことが、「原因と結果の論理」を使いこなすことの目的です。その具体的なフレームワークについては以下でも紹介していますので、ご参照ください。
 
誰でもすぐに”論理的”なプレゼンができるフレームワーク「仮説の論理構造」 - ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング
 
 

より具体的な実践方法について

考え方は今回ご紹介しましたが、より具体的な実践方法は次の記事をご覧ください。
 
因果関係の論理的思考実践│「ブランチ」作成入門 - ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング
 
 
 
 

おわりに

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今回は「原因と結果の論理」の具体的な実践方法の導入として、ブランチの基礎的な考え方を紹介しました。


本文でも紹介しましたが、この考え方・実践方法は日本では以下の本を中心に片手で数えるくらいしか紹介されている本がありません。こちらの黄色い本が一番初めに学ぶものとしては適切だと思いますので、ぜひ手にとって見てください。

考える力をつける3つの道具

考える力をつける3つの道具


また、このブログでは、この因果関係の思考の理解を深めるための記事を紹介していますので、以下もぜひご覧になってみてください。


引き続き「言い換え」「構造化」「因果関係」の3つの論理の型についての解説を増やしていきますので、TwitterのフォローやSNSでの記事のシェアなどよろしくお願い致します。

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