ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考のトレーニング

論理的思考をはじめとした思考力向上のためのノウハウブログです。

仮説思考で成長を仕組み化する「仮説検証スキル」のトレーニング

仮説検証って、具体的にどうやってやるの?

というのが今回のテーマ。


仮説検証は「仮説を立てる→実行する→検証する→…」を繰り返すことで仮説の精度を高める技術です。言葉や概念は簡単ですが、いざ実践しようと思うと「あれ?」と思うところが多々あります。

そこでこの記事では

✓ 「仮説検証」って具体的に何をしたらいいの?
✓ 「仮説」ってどうやって立てるの?
✓ 「検証」って実際は何をするの?

を解説していきます。

仮説検証スキルのトレーニング【基礎編】

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仮説検証とは何か?

仮説検証とは文字通り「仮説を立てて実行し、結果を検証すること」なのですが、検証によってどれだけ価値のある学びを得ることが出来るかが最も重要なポイントです。


例えば、仮説をしっかりと立てないまま検証しようとすると

「きちんと計画通り実行することが大事!」
「目標が達成できなかったのはリソース不足が原因!」

など、「そもそも誰もが知っていたこと」「具体的に活かすことができない抽象的な学び」が検証からアウトプットされ、予定調和で学びや発見のない仮説検証に陥ってしまいます。これでは仮説検証をやっている意味がないわけです。
 

仮説設定のポイント

このように仮説検証が「なんだかうまくいかないなー」となってしまうのはなぜでしょうか?その理由は「結果を確認することばかりに意識が向いて、そもそも検証の価値のあるうまい仮説を立てられていないから」です。つまり、仮説の立て方に問題があるわけです。


では、「価値ある検証結果が得られる仮説とは何か?」というと、結論から言えば以下の2つの要素をクリアした仮説です。

◎仮説設定のポイント【基礎編】
①現状と目標がはっきりしている

・新規販促ツールの導入により月の問い合わせ数が10件から30件に増える
・毎日30分勉強することで3ヶ月後にはTOEICの点数が450点から700点まで上がる
 
②うまくいく理由がはっきりしている

・過去、同時期に同様の施策を展開した場合に問い合わせ数が3倍に増えたため、今回も同様の結果が期待できるから
・実績豊富な英語講師がそうアドバイスしてくれたから

①現状と目標、そして②理由。これらをしっかりと押さえて仮説を設定することが重要です。①②の両方が揃ってはじめて

「やってみた結果はうまくいったといえるのか?」
「うまくいっていない場合は、何が悪かったのか?」

をきちんと考えることができます。「まずはこの2点をしっかりおさえようぜ!」というのが大事なところであります。
 

仮説検証が失敗する理由

この理解を定着させるために「どういうときに仮説検証が失敗するのか?」ということも整理しておきましょう。ここまでの理解があると想像しやすいかと思いますが、多くの人が仮説検証に失敗する理由は上記のポイントの①・②の要素のいずれか片方のみで仮説を設定してしまうからです。
 
 
具体的に解説していきます。「①現状と目標がはっきりしている」だけのときを考えてみましょう。例えば…

①現状と目標がはっきりしている
「新規販促ツールの導入により月の問い合わせ数が10件から30件に増える」

という目標設定に対して、やってみた結果、「新規販促ツールを導入したのに問い合わせ数は20件までしか増えなかった」とします。このときにもし、

②うまくいく理由がはっきりしている
「過去、同時期に同様の施策を展開した場合に問い合わせ数が3倍に増えたため、今回も同様の結果が期待できるから」

という②の理由が明確であれば、

「過去のツールと比べて訴求力が弱かったのではないか?」

と、検討すべきポイントが具体的に絞られて、原因を特定することができます。しかし、この②がなければ、上記以外にも想定しうるあらゆる可能性を検討することになり、結果として何が失敗の原因なのか、何が改善すべき点なのかが、何一つわからなくなります
 
 
つまり、仮説を立てて検証したのに、次に繋がることが何も得られないということになってしまうわけです。これでは

「仮説検証なんてまどろっこしいことをやっても意味がない!」
「何も考えずに行動し続けることが大事だ!」

という行動至上主義の脳筋理論にやられてしまいます。
 

仮説検証の目的

こうして片手落ちの仮説検証は学びを得られずに終わるわけですが、反対に「仮説検証がうまくいっている状態に得られるものが何か?」も理解しておく必要があります。結論から言えば、仮説検証の目的は「システムを成長させるための重要な学びを得ること」です。


現状と目標がはっきりしており、行動をやるとうまくいく理由もある。「仮説としては、きちんと実行されれば結果が出るはずだ」という状態です。しかし、きちんと実行したのにいい結果が出なかった。失敗した。そこではじめて「なぜ失敗したのだろう?」と考えられるわけです。


仮説というのは、いわば「実行前の正解案」です。正解だと思っていた。なのに、やってみたらなぜかうまくいかない。この本気で「なんでだ?」と思う気持ちが生まれることで、いままでの自分の前提を覆すような重要な学びが得られます。そしてその学びがシステムを次のレベルに成長させるための具体的な対策のヒントになります。だからこそ、実行前にしっかりと仮説を考え抜くことに価値があるのです。
 
 

参考記事

ここまでで基礎編は一通り終了です。参考として「役に立たないは誤解!論理的思考に必須のPDCAサイクルの実践法」では、仮説検証とほぼ同じPDCAという考え方についても記事を書いていますので、「仮説検証を仕組みにして成長をシステム化する」というところに関心のある方はそちらもあわせて御覧ください。
blog.uwanokikaku.xyz

POINT

✓ 仮説検証がうまくいくかどうかは仮説の設定の仕方にかかっている
✓ いい仮説を立てるためには「①現状と目標」「②うまくいく理由」の2つのポイントを必ずセットで記述する
✓ 仮説検証の目的はシステムを成長させるための重要な学びを得ること
✓ 仮説検証は「失敗から学ぶ」ということ。良い仮説をつくり、失敗することが成長の秘訣

 

仮説検証スキルのトレーニング【上級編】

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仮説思考に基づく仮説の立て方

ここまでの内容をきちんとやるだけで仮説検証スキルは偏差値65くらいです。ここからは「更に上を目指すぜ!」という意欲にあふれる方のための内容です。そんなマニアックな方であればぜひ読み進めてくださいませ。


まず前提として「因果関係の思考を鍛えるには?│「原因と結果の論理」の実践方法」という記事を読みながら「仮説思考」の考え方を押さえてください。物事の因果関係を考察し、仮説を作るための考え方のベースです。

blog.uwanokikaku.xyz

ざっと「ふむふむ」と思った方は、次に「誰でもすぐに”論理的”なプレゼンができるフレームワーク「仮説の論理構造」」から「仮説の論理構造」というフレームワークを学びましょう。
 
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記事ではプレゼンテーションを想定してお伝えしていますが、「仮説の論理構造」とはその名の通り、科学的な仮説を立てるための論理構造(押さえるべきフレームワーク)です。はじめて聞く言葉ですので、難しく感じられるかもしれませんが要は、

「仮説を立てるときは前提・行動・目的・理由の4点を言葉にしてね!」

というシンプルなもの。ぜひ前提理解として押さえておいてください。

blog.uwanokikaku.xyz
 

仮説設定のポイント【上級編】

さて、いよいよ本題です。「仮説の論理構造」を理解すると、より厳密な、検証のしがいのある仮説を作れるようになります。以下のチェックポイントを押さえながら、より高いレベルの仮説を作ることにチャレンジしてみましょう。

◎仮説設定のポイント【上級編】
①「前提」の設定
✓ 現状を数値や客観的な根拠に基づいて明らかにできているか?
✓ なぜその状態になっているか、因果関係・システムを特定できているか?【現状分析:現状ツリー(CRT)
 
②「行動」の設定
✓ 一言で説明できるシンプルで誤解のない内容になっているか?
✓ 現実的に実行可能な計画になっているか?
 
③「目的」の設定
✓ 目指す内容を数字など客観的に測定・観測可能に説明できているか?
✓ なぜその状態を目指すのか、目標設定の根拠や妥当性を説明できるか?
 
④「理由」の設定
✓ 誰もが納得する明確でわかりやすい理由になっているか?
✓ 理由には根拠があるか?
✓ その理由通りに変化が起きているかどうか後から確認が可能か?

繰り返しますが、仮説検証がうまくいくかどうかは仮説設定にかかっています。いろいろとチェック項目を挙げましたが、出来る限りすべての要素がクリアになるように頑張って考えてみてください。


もし、ビジネスの実務の中で簡易的に使いたい場合、まずは低いハードルでやってみたい場合は水色の部分に集中してやってみることをおすすめします。
 

実行フェーズのポイント

こうして仮説をしっかりと作ったら、いよいよ実行です。意外に思われるかもしれませんが、仮説検証において実行フェーズは最も気楽なところです。


仮説検証の一番の狙いは「システムを成長させるための重要な学びを得ること」でしたが、実行のところで120%頑張らないとうまくいかない仮説は、その時点で仮説として成り立っていないわけです。平常運転で実行してうまくいかなければ、はじめてそこで「なぜだろう?」と論理的に考えられて、重要な学びがあります。


もし仮に、仮説がボロボロなのに実行のところで120%頑張って目標を達成してしまうと、「仮説は正しかった!」という結論になり、自分の首を絞めます。「前回できたんだから、次も出来るだろ?」と言ってくる嫌な上司やクライアントを自分の手で生み出してしまっているわけですね。


ということで、「実行フェーズは決して頑張らない」というのが重要なポイントです。
 

検証のやり方

続いて、検証の具体的なやり方についてです。仮説を検証する際には、仮説と同様に仮説の論理構造の4点に沿って確認していきます。

◎仮説を検証するときのチェックポイント
①「前提」の確認
✓ 設定した前提がその内容通りに本当に存在していたか、前提に変化はなかったか?
 
②「行動」の確認
✓ 行動の内容をきちんと実行できたか?
✓ 行動の内容は誤解がないほど明確で、実行可能だったか?
 
③「目的」の確認
✓ 目的の内容に対して実際に起こったのはどんな結果か?
✓ 目的の内容は誤解がないほど明確で、測定・観測可能だったか?
 
②「理由」の確認
✓ 理由通りに変化が起きたか、あるいは理由とは違う変化になったか?
✓ 理由の内容は誤解がないほど明確であったか?
✓ 理由には根拠(理論や計算式、参考事例など)があったか?

これらのチェックポイントを全て検証していくことで、かなり厳密な仮説検証ができます。ビジネスの日々の実務レベルを考えれば、水色の3点をしっかり押さえていれば十分でしょう。


チェックしていく中で、特に「No」「うまくいかなかった」という否定的な結論になった問いについて、「なぜうまくいかなかったのだろう?」と理由を考えていくことから大きな学びが得られます。仮説検証の中では、ぜひ失敗を楽しんでみてください
 

仮説検証を成功させるための3つのポイント

ここまででも既にかなりお腹いっぱいかもしれませんが(笑)、最後に、仮説検証を成功させるために重要なマインドセットを3点確認しておきます。
 
✓ 仮説が間違っていたことを素直に認める
 
最も重要なことです。仮説検証の最大の価値は「やってみるまでわからなかった過去の自分の誤りを理解し、修正することで自分の限界を突破すること」。つまり、人や組織の成長そのものです。「最初に立てた仮説が間違っていた」という結論にならなければ、仮説検証をやる意味はありません。


しかし、完璧主義が強い人、プライドが高い人は「自分が作ったプランが間違っているはずがない」と思ってしまいがち。そうやって自分を守っても何も得るものはありません。「仮説がまちがっていたことを素直に認める」ということなくして成長はありませんので、自分を守るのはやめましょう。
 
✓ とにかく客観的なデータで語る
 
人間の認識はとても曖昧で、感覚に頼ると事実の認識を誤ります。「今回はとても頑張った」という本人の発言だけで「十分に行動ができた」「十分に結果が出た」とは言えません。必ず客観的なデータによって事実を確認しましょう。


決めた行動をやったときには「やった」という記録を日付入りで残す。複数回やるべきこと、きちんと毎回記録する。もちろん結果は数字で確認する。変化の前の前提も記録をベースに明らかにする。こうしたことを愚直にやることでまぎれもない事実が明らかになります。客観的な事実が仮説検証の起点です。

✓ みんなで議論し、徹底的に認識を合わせる

チームや組織で仮説検証を行う場合は、主要な関係者の認識合わせに時間を取りましょう。データはきちんと取得された限り実態を表しているはずですが、そこに様々な加工、例えば平均や偏差などの処理を加えるにつれて様々な解釈が含まれます。「これは実際どういうことか?」をみんなで検証することが大事です。


また、事実が明らかだったとしても、それを何らかの事情で認められない・認めたくない人もいます。「営業部の○○課長のチームだけが成績が悪かった」というデータは○○課長にとっては受け入れたくないものかもしれません。数字の結果で全てを語るのではなく、「その事実から何がいえるのか?」を丁寧にみんなで納得できるまで議論することが大切です。

POINT

✓ 仮説の論理構造を活用し、前提・行動・結果・理由の4点で仮説を立てることで仮説検証のレベルが飛躍的に上がる
✓ 「仮説検証を成功させるための3つのポイント」を押さえて検証することが成功の秘訣
-仮説が間違っていたことを素直に認める

  • とにかく客観的なデータで語る
  • みんなで議論し、徹底的に認識を合わせる

おわりに

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いかがでしたでしょうか。「仮説を立てて検証する」ということ一つとっても、そこにはさまざまな知識や実践の知恵があるのだということが感じていただけたのではないかと思います。特に、きちんと記録をとって振り返りのためのデータを集めることは「大変だなあ」と感じられたかもしれません。


実務においてはチェックリストを使うことで「決めた行動を徹底する」「行動がきちんと実行されたか振り返る」ことがやりやすくなりますので、以下の本も関連書籍としておすすめです。

引き続き、このブログで一緒に学んで行きましょう。

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