ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考・問題解決のトレーニング

問題解決や論理的思考を探究し続けるブログです。企業でも個人でも、抜本的なビジネス改善から日々のアイデア仕事まで、定めた目的を達成するためのあらゆる営みを「問題解決」と捉えて、理論と実践を一つの体系でシンプルに整理・統合することを目指しています。

本気で成功したいなら○○に集中せよ│TOC制約理論の基礎を解説

無理せず楽して成功したい!

というのは人間の本質的な欲求のはずですが、そのまま言葉にしてしまうと

「そんなこと言わないで真面目にコツコツ頑張りなさい」

と言われてしまいます。それはあながち間違っていないのですが、では何をコツコツと頑張れば成功できるのかは、誰もはっきりとは教えてくれません。


そこで今回は

・本気で成功したいなら○○に集中しよう!

の答えとなる再現性のある科学理論をご紹介します。

本気で成功したいなら○○に集中せよ

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目指している「成功」の正体

少しだけ前提の確認ですが、目指している成功とは何でしょうか?具体的な内容は人それぞれですが、ここでは

自分が目指す目標が達成できること

・年収○千万円を実現する
・会社をつくり事業で成功する
・海外で余生を過ごす

などなど、自分が人生で成し遂げたいと目指す目標が成し遂げられれば成功としておきましょう。


では、その目標を達成するためにすべきことは何かというのがこの記事の主題ですが、結論から言えば、それはボトルネックに集中するです。
 

ボトルネックとは

ボトルネックの直接的な意味は、ワインボトルなどのボトルの細くなっている部分(=首・ネック)です。


ボトルの最も太いところがどれだけ大きくても、ネックの部分が細くなっていれば、中から水が出る最大速度はそのボトルネックの細さによって決まります

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この物理現象は、何らかのアウトプットを生み出す現実のシステム全般にあてはめて考えることができます。

現実のシステムにおけるボトルネック例
・ライブ会場に同時に入場できる人の数は、会場入口の対応速度によって決まる
・インターネットで動画を読み込むのにかかる時間は、接続している回線の速度によって決まる
・レストランで注文してから食事が出てくるまでの時間は、厨房の調理速度によって決まる

身の回りの出来事を考えると、あるたった一つの部分によってシステムのアウトプットの量や速度が決まっていることが分かります。

~がネックになっている

日常会話でもこうした表現を使いますが、まさにこれがボトルネックの考え方です。

結果を出すにはボトルネックに集中すればいい

システムのアウトプットはボトルネックによって決まるのであれば、極論

ボトルネックを広げることができれば、アウトプットは増やせる

と言えます。逆に、ボトルネック以外の部分の改善を頑張ったところでアウトプットは一切増えないということも言えます。

結果を出すにはボトルネックに集中すればいい

ボトルネックの一箇所だけ考えて取り組めばいいので、非常にシンプルで、かつラクに結果に繋がります。
 

TOC制約理論の考え方

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TOC制約理論とは

ボトルネックの話は直感的にも理解しやすい常識的な考え方ですが、これを現実のあらゆるシステムに応用可能な科学的理論として説明するのがTOC(Theory of Constraints)制約理論です。

TOC(Theory of Constraints)制約理論

  • イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット(1947-2011)によって提唱されたマネジメントの経営哲学・科学理論
  • 1984年に同氏の小説『ザ・ゴール』によって世界に紹介された。日本では2001年に販売され、コミック版と合わせて80万部を超すベストセラー
  • 「5つの集中ステップ」に沿って改革を進めることで制約(Constraints)≒ボトルネックをコントロールし、成果を生み出す

ボトルネックに集中することで成果を生み出す

この考え方が理論として体系化されているのであれば、使わない手はありません。

制約(Constraints)とは

TOC制約理論においては、前提として以下の2つを仮定します。

TOC制約理論の前提
システムには必ず以下の2つの仮定が含まれる

  • つながり【依存的事象】
  • ばらつき【統計的変動】

このとき、システムには制約(ボトルネック)がある

具体的な例で表すと

  • あるシステムは、A~Eの5つのプロセスで成り立っている
  • それぞれの処理能力は「A:20、B:15、C:10、D:12、E:16」とする

このとき、Cが制約(ボトルネック)であり、システム全体の処理能力は10である

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したがって、このときは制約(ボトルネック)である「C:10」に集中し、11、12…と改善することによってアウトプットを増やすことができる。逆に、A・B・D・Eの4つは非制約(非ボトルネック)であり、この処理能力を拡大してもアウトプットは増えません。

5つの集中ステップとは

この制約(ボトルネック)の考え方を具体的な実践に活かす「5つの集中ステップ」という考え方があります。

5つの集中ステップ

  1. 制約を特定する
  2. システムの制約を徹底活用する方法を決める
  3. この意思決定にその他すべてを従属させる
  4. システムの制約の能力を高める
  5. 警告! 惰性がシステムの制約にならないようにすること。制約が解き放たれたら、ステップ1に戻る

どういうことかというと

  1. システム全体は「A:20、B:15、C:10、D:12、E:16」であり、システム内のムダによって全体のアウトプットが8であったとする
  2. 制約であるC:10を徹底活用すれば、全体のアウトプットは10に増える(ステップ1~3)
  3. 制約であるC:10の能力を向上し、C:15になったとする(ステップ4)
  4. 制約はD:12に移り、全体のアウトプットは12になるが、制約が変わったことに気付かないと「なぜC:15の能力があるのに12しかアウトプットされないのか」と不可解なことになるため、もう一度制約がどこかを検証する(ステップ5)
  5. システム全体は「A:20、B:15、C:15、D:12、E:16」となっており、制約はD:12であるためこちらを徹底活用する方針に変える(ステップ1~3)

このステップを繰り返すことによって、システム全体のアウトプットを増やし続けることが論理的に可能になります。
 

ビジネスにおけるTOC制約理論の活用事例

TOC制約理論はビジネスから生まれた理論ですので、ビジネス界では多くの支持者がいます。著名な例ではAmazonのCEOジェフ・ベゾス同社の経営幹部に必ず読ませる3冊の本のうち1冊が『ザ・ゴール』だと言われています。

TOC制約理論は全世界の様々な企業で活用されており、日本では自動車メーカーマツダの事例が有名です。また、(TOC制約理論という言葉は出てきませんが)noteのCXO深津氏もボトルネックに着目した経営改善を解説しています。

TOC制約理論の学術的発展

TOC制約理論の学術的な発展については、2018年にレビュー論文がでており、まだまだ研究としては十分ではないものの、理論が提唱された1984年以降、論文・出版物の部数は継続的に増加していることが示されています。f:id:amsoat:20191024225709j:plain
※画像は同論文より引用

推薦図書

もっと深く学んでみたい!

という方のために、TOC制約理論の理論と実践の理解を深める推薦図書を紹介します。まずは何をおいても『ザ・ゴール』です。
長編の小説でありながら、ソクラテスの問答法を活用した飽きさせない展開と深い解説のある不朽の名作です。こちらについてはコミック版もでていますので、手軽に読みたい方にはコミック版がおすすめです。
『ザ・ゴール』の次には、こちらの本を読みましょう。
TOC制約理論をより詳しく理解するための、ゴールドラット氏のインタビュー&論文集です。
 

おわりに

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ボトルネックに集中!

することが成果を生み出すための最短ルートです。TOC制約理論を活用しながら成功を手にしていきましょう。