ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

そんなに感情的に人を批判してどうするの?│問題解決者のマインドセット

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みなさん御存知の通り、Twitterというのは非常に燃えやすいメディアです。


ある人の言動に対して感情的な批判(非難や揚げ足取り)の嵐が吹き荒れ、関わる人みんながげんなりするようなシーンは日常茶飯事ですが、どれだけ「ん?」と思うことでも、私は感情的に誰かを批判することはしないと心に決めています。


それは、八方美人でいたいからではなく、問題解決に携わる人間としての基本的なマインドセットだと思うからです。


そこで今回は

・なぜ感情的に人を批判することをしないのか?

について話をします。

そんなに感情的に人を批判してどうするの?

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感情的な批判から生まれるもの

感情的な批判はしないと決める理由はシンプルで、感情的な批判は問題解決に取り組む者にとってご法度だからです。


ご法度である理由を考えるにあたって、まずは「感情的に相手を批判する」という行動によって何が起きるかを整理してみましょう。

(ケース)
SNSでとある社会問題のニュースを目にしたAさんは、「そんなことをする人間がいるなんて信じられない!どれだけ馬鹿者なんだ!」と憤り、その社会問題を解決するため、特定の立場や主張の人を強烈に非難する文章を投稿した。

こういうことは毎日様々なテーマで行われることですが、糾弾される側の人々に共感的なBさんがこうした投稿を目にした場合、Bさんはどの様な反応をするでしょうか?

①感情的に反発する
「Aさんの方こそなにもわかっていない馬鹿者だ!」
 
②感情的に凹む
「自分は他人にそんな風に責められてしまうのか…。。」
 
③無視する
「見なかったことにしよう」
 
④理性的に処理する
「Aさんのように言う人もいるだろう」

考えられるBさんの反応は以上の4パターン。


考えを進める上で、人間は、相手が自分にぶつけてきたエネルギーに比例して、自分の内側でエネルギーを生じるという前提を置いてみましょう。


褒められる場合も、責められる場合も、相手が自分に投げかけたエネルギーの強さに比例して、自分の内側で「嬉しい!」「悲しい…」といった感情の度合いが決まっていきます。


「へー、やるじゃん」と軽く褒められるよりも、「これは素晴らしいことだ!!」と相手が強く高揚している場合の方が、自分の内側に湧き上がってくる嬉しさは大きくなります。


さて、こうした前提を認めるならば、上記の①~④ではそれぞれ何が起きるでしょうか?
 

【検討1】感情的な反応

①②は、ベクトルの向きこそ違えど感情的な反応という点では共通しています。

①感情的に反発する
「Aさんの方こそなにもわかっていない馬鹿者だ!」

という場合、Aさんが投げかけた100のエネルギーの批判に対して、Bさんが真逆の向きに100のエネルギーで反発してくるので、AさんとBさんは互いに200のエネルギーでぶつかり合うことになります。


傍から見ていてしんどくなる「不毛な論争」とはまさにこのことで、互いに相手を非難し、打ち倒すことが目的となってしまうため、話の内容からは合理性が欠落し、当人はもとより周囲の人まで巻き込んで負のエネルギーを拡大し続けていきますし、当然、前向きな発見など生まれるはずもありません。


一方、

②感情的に凹む
「自分は他人にそんな風に責められてしまうのか…。。」

こちらはBさんが大変不幸です。


Bさんは、Aさんから受けた100のエネルギーに加え、自分の内側に生じた100のエネルギーが自分を責める方向に向かってくるので、都合200の負のエネルギーを一身に受けることになります。


Aさんは言いたいことを言ってある程度すっきりするかもしれませんが、Bさんは誰にも慮られることなく、一人で200の精神的ダメージを受けます。


自分で自分を責めることとなり、自尊心が大きく低下したBさんからは、現状の課題を乗り越える創造的なアイデアなど生まれてこないでしょう。


この2つの比較から言いたいことはなにかと言うと

感情的な批判を真に受けてはいけない

ということです。


強い負のオーラをまとったメッセージに真正面から向き合ったところで、「不毛な論争」に巻き込まれるか「自尊感情を大きく傷つける」かのいずれかしかありません。


その土俵に乗ったところで、ムダなエネルギーを使ってしまい、自分にとって重要な創造的な活動に力を注ぐことができなくなってしまいます。


そしてこれは

感情的な批判を助長してはいけない

ということでもあります。


少なくとも自分がその口火を切ることはNGですし、周囲にそういう人がいたとしても、最終的にはみんなを不幸にするだけなので、加担してはいけません。


上記で認めた

人間は、相手が自分にぶつけてきたエネルギーに比例して、自分の内側でエネルギーを生じる

という前提を採用するのであれば、受け止めない、参加しないが理性的な人間にとってそもそも重要な振る舞いです。
 
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【検討2】受け止めない

ということで、①~④のうち、次は③の検討です。

③無視する
「見なかったことにしよう」

Bさんにとって、これが最も懸命な判断です。


自尊心を傷つけられるようなメッセージを見た場合、「そっ閉じ」するか、必要ならば相手をミュートかブロックするのが懸命です。

みんなのために、自分はその手に乗らない

と理性的に判断できるようになるだけで楽になります。


また、ここで重要なのは問題は何も解決していないという事実です。


もともとは、ある社会問題に強く反応したAさんですが、Aさんは自分の正義に従って、正しくない状態を解消しようという意図を持って自分の考えを投稿していました。


しかし、①②では全く解決に向かうことはありませんし、③ではスルーされるので、そのメッセージを届けたかったBさんの様な人には届きませんでした。


むしろ、強烈な批判を発したことにより、対話の機会を失ったとさえ言えます。


これでは、問題解決に近づかないどころか、遠ざかってしまいます。
 

【検討3】理性的な判断

では、①~④の最後である

④理性的に処理する
「Aさんのように言う人もいるだろう」

これはいかがでしょうか?


①~③と比べると、④は創造的な議論に発展する可能性があります。


Bさんが、自分と異なる立場や思想の人の考え方に思いを馳せ、その主張に一定の価値を認めるならば、そこに気づきが生まれ、前向きな検討がスタートする可能性が十分にあります。


しかし、もとより人間は、相手が自分にぶつけてきたエネルギーに比例して、自分の内側でエネルギーを生じるという前提を認めるのであれば、そもそもBさんがこの態度を取ることは極めて困難です。


自分の内側で生まれた100の感情エネルギーを、外に向けるでもなく、自分に向けるでもなく、うまく消化しなければなりませんが、それを普通の人に求めるのは酷です。


一般に、こうした立場を取れるのは、AさんやBさんといった当事者ではない、第三者的な立場にいる人です。


しかし、当然のことですが、ある社会問題があったしても、当事者はその問題に高い関心を示しますが、関係のない第三者は多くの場合素知らぬ顔です。

冷静な判断が可能な立場にあるということは、すなわち感情が動かず冷静でいられるほど、その問題には遠いところにいるということ

と言えるのではないでしょうか。


やはり、これでも問題は解決しそうにありません。
 

問題解決者のマインドセット

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「感情的な批判はしない」と心に決める

以上、感情的な批判に対する反応について、①~④の4つのシナリオを大きく3つのパターンに分けて検討してきましたが、いずれの場合も問題が解決する方向には向かわないということがわかりました。


では、どうしたらよいのかというと、その答えが感情的な批判はしないと心に決めることです。


これだけでは

ただの精神論じゃないか!

と言われてしまいますので、もう少し具体的に説明していきます。
 

「前提の違い」を考える

私は日頃、コンサルタントやファシリテーターとして組織の課題解決に取り組んでおりますが、特定の立場や意見の人を感情的に批判することは絶対にありません


もちろん、一人の人間ですので「ん?」と違和感や反発心を覚えることもありますが、そのときには必ず

自分とは相容れない主張になるということは、何か自分が見落としている事情があるに違いない

と直ちに主張の違いが生まれる理由を考えています。


これは幼い頃からの自分の信念でもありますが

・「悪いことをしよう」と考えながら悪いことをする人はいない
 
・どんな人にも、その判断に至る正当かつ合理的な理由がある
 
・ある人が「誰もができること」に失敗したとしても、必ずそこにはできなかった理由がある

相手と自分がどれだけ大きく対立したとしても、そこには相手の立場における正義と合理性があり、全く同じ状況であれば自分もそう判断しただろうという考え方があります。

違いがあるとすれば、それは「前提の違い」である

こうした信念・考え方があると、「自分が正しい、相手が間違っている」という結論になることはなく

こちらからは一見非合理的に見えるその結論、一体相手がもっている重要な前提は何だろう?

と考えるようになります。


そして、この考え方こそ、問題解決に取り組む人間に必要不可欠なマインドセットです。

◆問題が解決しない振る舞い
立場や意見の違いは、相手が非合理な判断をする間違った人間であることに起因する
したがって、自分と異なる立場・意見の他者を強く批判する
 
◆問題解決者のマインドセット
立場や意見の違いは、それぞれが持つ前提の違いだけ
したがって、自分と異なる立場・意見の他者に出会ったら「なぜそうなるのだろう?」と理由を考える

TOC(制約理論)を打ち立てたエリヤフ・ゴールドラット博士は

Blaming others is not solution.(誰かを非難しても問題は解決しない)

という言葉を残しています。


これらの違いを理解し、後者のマインドセットを持つことが、問題解決に携わる人間には不可欠です。

関連記事

エリヤフ・ゴールドラット博士についてはこちらを参照
本気で成功したいなら○○に集中せよ│TOC制約理論の基礎を解説

問題解決者の思考法

2つの立場の違いがはっきりとわかったところですが、それを具体的に実践する方法を持っていなければ、それこそ絵に描いた餅になってしまいます。


コンサルタントやファシリテーターといった問題解決を担う人に必要不可欠なのは、言うまでもなく論理的思考力です。

・現状を正確に把握し、関係者の合意をつくる
 
・あるべき姿と現状のギャップから、取り組むべき問題を定義する
 
・現実的・創造的なアイデアを生み出し、再現可能な解決策の仮説を作る
 
・解決策実現のための障害を整理し、乗り越えるための道筋を作る

問題解決はこうした一連のプロセスを踏むわけですが、これらを完遂するには

◆正確に情報を整理する力
 
◆ステークホルダーの立場の違いを理解する力
 
◆みんなが合理的であると納得できる結論を導く力

といった論理的な思考と発想の技術が必要です。


逆に言えば、論理的に考えることができない状態では、

◆問題解決者のマインドセット
立場や意見の違いは、それぞれが持つ前提の違いだけ
したがって、自分と異なる立場・意見の他者に出会ったら「なぜそうなるのだろう?」と理由を考える

というマインドセット自体が合理的なものには思えないはずです。


「考える力」ですので一朝一夕に身につくものではありませんが、「論理」や「思考」の本質から理解することでスムーズに習得することができます

論理的思考力を身に着けたい!

と思う方は、ぜひ以下の記事もご参照ください。
 
>> 論理的思考の基礎講座
 

おわりに

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感情的に人を批判することから生じるネガティブなこと、そして、問題解決者としてのあるべき姿とその実現方法を整理してきました。


論理的な思考力を身に着け、問題解決力を高めて行きましょう。

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