ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

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なぜ目標を設定するのか?目標設定の本質と達成確率向上の具体的テクニック

目標の上手な立て方を知りたい!

という方も少なくないはず。


仕事では達成目標を管理され、年末年始になると翌年の目標を決めるなど、様々なところで「目標を決める」ということをやるものの、計画倒れに終わってしまうことも多々あります。


そこでこの記事では

・そもそも目標設定をするとなぜよいのか?
・達成確率を上げるための具体的なテクニック

を解説します。

なぜ目標を設定するのか?ー目標設定の本質

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目標はただ設定しても意味がない

仕事ではMBO(Management By Objectives)と言いながらあれこれ目標を背負わされたり、年末年始になれば「来年の目標は」とみんながSNSで自分語りを始めたり、私たちは何かと目標を使いながら生きています。目標を決めて行動すること自体には異論がなくとも「そもそもどうして人は目標を設定するのか?」をきちんと理解しておくことが必要です。


目標を設定することの必要性・有効性については、心理学や認知科学の領域で盛んに研究されていますが、一つの有力な理論として1960年代から数多くの実証研究がなされている目標設定理論(goal setting theory)というものがあります。目標設定理論では

困難かつ明確な目標を設定すると人のパフォーマンスは向上する!

ということが実証されています。

【原因】困難かつ明確な目標を設定する
 ↓
【結果】パフォーマンスが向上する

という因果関係が成り立つということですが、ここには重要な境界条件があり実行者に主体的に取り組む意図がある場合に限ります。当然のことですが、当の本人が「高い目標に向かって頑張ろう!」と目標達成にコミットしていなければ、困難な目標を設定するとむしろ逆効果になることも実証的に明らかにされています。つまり、正確な因果関係は

【原因①】困難かつ明確な目標を設定する
 かつ
【原因②】目標達成にコミットしている
 ↓
【結果】パフォーマンスが向上する

この2つ目の原因をしっかりと押さえた上で目標設定しなければ、目標設定は十分に効果を発揮しません。至極当然のことですが「目標を設定しよう!」と考える人に抜け落ちてしまいがちな視点ですので、はじめに指摘しております。

なぜ目標を設定するのか?ー目標設定の目的

目標設定の重要な前提を確認した上で、いよいよ「なぜ目標を設定するのか?」の答えですが、上記でも示唆した通り目標設定には人のパフォーマンスを高める効果があります。当人がコミットメントしている限り、目標は設定しないよりもした場合の方がその人のパフォーマンスは向上しますし、目標設定理論が明らかにした通り困難かつ明確な内容であればあるほど成果が高まります。この

目標設定により人のパフォーマンスを最大限引き出す!

というメリットを享受することが目標設定の最大の目的ではないでしょうか。


もちろん「目標が明確な方が日々の生活に張り合いがある」「目標がないと漫然と日々を過ごしてしまう」「目標があると人を管理しやすい」といった側面もあり、とても重要なことです。しかし、正しく目標を設定できれば人の能力を引き出し、個人も組織も生産性を向上させることが可能ですので、自分(たち)の可能性を最大化するという狙いのもとで目標設定をするのがよいのではないでしょうか。

関連記事

「目標設定が人のパフォーマンスを向上させる」というメタ分析
The Effect of Goal Setting on Group Performance: A Meta-Analysis
具体的な目標設定の方法を解説した記事
価値観や強みを活かす科学的目標設定│自己分析で無理なく行動する目標設定方法

なぜ目標を設定するとパフォーマンスが上がるのか?

さて、ここで重要なのが「どうして目標を設定するとパフォーマンスが上がるのだろう?」というところ。「目標を設定してはみたものの、なんだかうまくいってる気がしないな…」という経験がある人は少なくないと思いますが、その根本的な原因は目標設定をするとパフォーマンスが上がるからくりを理解していなかったことによるものと思われます。


目標設定が人のパフォーマンスを高める理由はいくつかありますが、主要なロジックは以下の通りです。

目標設定が人のパフォーマンスを高める理由
①限られた時間を目標達成に集中させるようになる【行動の積み上げ】
目標の達成に関する事柄に、より多く意識も行動も集中させるようになり、1日の中で目標に関することに費やす時間が増える
 
②自発的により高い負荷で行動するようになる【集中力】
より粘り強く、より集中して、目標達成に関するタスクを遂行するようになり、目標達成に近づくタスクの品質が高まる
 
③モチベーションがより持続するようになる【継続力】
タスクに取り組む時間が長くなったり、より長い期間において目標達成に向けた取り組みを持続するようになる
 
④優れたアイデアが生まれるようになる【発想力】
通常では思いつかないような、創造的な目標達成の手段を発想するようになり、行動の効率性・生産性が高まる

正しく目標を設定できればこれら4つのからくりが働き、その人の生産性やパフォーマンスが飛躍的に向上し、結果として目標が達成されることとなります。これは、反対から言えば、これら4つのメリットが実感的でいない場合には目標の設定がうまくいっていないということ。目標達成に取り組んでいる場合は

行動の積み上げ・集中力・継続力・発想力が高まっているか?

と4つの要素を意識することで、そもそも意味のある取り組みになっているのかを確認することが出来ます。


以上、ここまでが目標設定の本質部分です。ここまでの内容を正しく理解した上で、以降では具体的な目標設定の実践方法をご紹介します。
 

達成確率を上げる目標設定の具体的テクニック

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目標達成の確率を上げるための方法は?

目標設定の本質部分を理解した上で、それを具体的な実践に活かすための方法を解説します。「モチベーションが続かない」「いままでうまく行った試しがない」「どういう内容を目標に設定したらいいかわからない」など、具体的なお悩みを解決しながら、本質に沿って着実に変化を起こすための方法です。

達成確率を上げる目標設定の具体的テクニック

  1. 目的と目標は分けて設定する
  2. 目標は現実的に狙えるギリギリ高い地点を設定する
  3. 目標はオモテとウラの両面から設定する
  4. オモテの目標はSMARTに設定する
  5. 行動計画を設計する

「目標を設定する」という言葉を文字通り解釈し、目標だけを設定してもなかなかうまくいきません。5つのポイントを順に確認しながら設定することで、科学的にも実証されているメリットをしっかりと享受することが出来ます。
 

1.目的と目標は分けて設定する

まず、目標を設定する上で大切なのが目的と目標は分けて設定するというポイントです。目的と目標の言葉の意味の違いも重要ですが、大きくは以下のように整理して理解しましょう。

1.目的と目標は分けて設定する
目的(purpose/wish)
実現したい内容そのもの
実現したら感情的に嬉しい内容をイメージする
例:スマートな体型になり、自信をもって人に会える
 
目標(goal)
目的を実現するために目指す到達地点
客観的に測定可能な状態を設定する
例:3ヶ月で10kg痩せる

目的とは実現したい内容そのもの「こうなったら嬉しい」と素直に喜べる状態を言葉にすることで、継続的なモチベーションを生み出すことができます。


一方で目標とは目的を実現するために目指す到達地点です。「こうなったら嬉しい」という目的の状態をイメージするだけでは、具体的にどうやってその状態を実現したらよいかは曖昧で、そのままではいつまで経っても実現することはできません。客観的に測定可能な目標地点を明確にすることにより、いま自分が何をする必要があるのか、必要な行動を具体的に考えられるようにするために目標を設定します。

目的はモチベーション、目標は行動のために必要!

と覚えておくといいでしょう。実践的には、まずはじめに「こうなったら嬉しい」と思える目的をイメージし、その次に「では、まずはどんな状態を目指そう?」と考えて具体的な目標を設定します。目標の設定方法については以下の項目を続けてご確認ください。
 

2.目標は現実的に狙えるギリギリ高い地点を設定する

ここからは目標の具体的な設定方法です。冒頭で目標設定理論を紹介した中では、「目標は困難かつ明確であることが重要」と言いました。そこで、目標を設定するときには現実的に狙えるギリギリ高い地点を設定するという視点をもつことが大切です。


目標設定が人のパフォーマンスを上げるためには「目標達成が困難であること」と「目標達成にコミットしていること」の2つが両立していることが必要不可欠です。「目標は高い方が人のパフォーマンスを高める」とだけ聞くと、むやみに高い目標を設定したくなりますが、本人が心からコミット出来ない目標設定は逆効果です。まずは本人が「この目標なら本気で達成を目指して頑張れる!」と思えるテーマや指標を見つけましょう。ダイエットであれば体重や体脂肪率、仕事であれば月の売上や利益など、シンプルでわかりやすい項目を設定しましょう。


そこを確かに確認した上で、困難さの調整です。困難さは主に納期と達成水準で決まります。「3ヶ月で」よりは「1ヶ月で」の方が困難ですし、「1kg痩せる」よりは「3kg痩せる」の方が高いハードルになります。納期と達成水準を調整しながら

これなら本気で取り組める!

と思えるギリギリ高い地点を目標として設定しましょう。
 

3.目標はオモテとウラの両面から設定する

目標の設定の具体的なイメージが湧いてきたところで、目標はオモテとウラの両面を設定するという考え方を覚えておきましょう。オモテの目標とは客観的に測定可能な目標で、ここまで確認してきた目標そのものです。これに加えてウラの目標として自分だけの学びや成長に関する目標を設定することで、モチベーションが更に向上し、行動の継続力も高まります。


なぜこのようにオモテとウラの両輪で目標を設定するのでしょうか。目標には遂行目標(performance goal)と習得目標(mastery goal)という分類があります。遂行目標とは、客観的に測定可能な状態の目標で、文字通りその人のパフォーマンスを見る目標です。客観的に「できた/できない」が判定出来るために、遂行目標の達成を目指すときには心理的なストレスが大きくかかります。特に、高い目標を設定すると「この目標はしんどいな…」という気分になることもあり、それが却って行動を阻害することにもなります。


では、そうしたときには目標を下げればよいかと言うとそうではなく、目標達成のもう片方の面である自分自身が成長するという視点を持つことが重要です。これを支えるのが習得目標という考え方です。高い目標の達成には、自分自身が学習・成長することが必要不可欠です。その学習・成長の面に意識を向けるために、「オモテの目標が達成できるとき、自分にはどんな学びや成長があるだろうか?」と考え、個人として学びたいこと、成長したいことを定性的に記述します。数字を追い求めることにストレスを感じたときは、このウラ面の習得目標を意識することによって、モチベーションを維持することが可能になります。


オモテの遂行目標、ウラの習得目標を定めることの具体的なイメージは以下の通りです。

3.目標はオモテとウラの両面から設定する
◆オモテの目標【遂行目標】
客観的に測定可能な目標

・3ヶ月で10kg痩せる
 
◆ウラの目標【習得目標】
自分だけの学びや成長に関する目標

・継続に苦しさを感じたときに乗り越える方法を身につける
・弱音を吐いて諦めてしまう自分を辞められるようになる

目標はオモテの遂行目標、ウラの習得目標の両面で設定する!

と覚えておきましょう。

4.オモテの目標はSMARTに設定する

先にウラの目標の詳しい設定方法を紹介しましたが、オモテの目標はSMARTに設定しましょう。

4.オモテの目標はSMARTに設定する
オモテの目標は以下の5点がクリアできているかをチェックする

  • S:Specific 具体的な・明確な
  • M:Measurable 測定可能な
  • A:Achievable 達成可能な
  • R:Related 目的に関係する
  • T:Time-bound 期限が明確な

どの内容もすでにここまで紹介してきた内容ですので、SMARTの5点をチェックリストとして活用しましょう。
 

5.行動計画を設計する

ここまでで、目的とオモテウラの目標がすでに設定できている状態です。ここで目標設定を終了したくなりますが、目標をしっかりと達成するには行動計画の設計が必要です。当然のことながら、立てた目標を達成するのは、自分自身の日々の行動の積み重ねです。具体的にどのような行動を積み重ねるのか、事前にしっかりと計画しましょう。


行動計画の立て方については別の記事で具体的に紹介していますので、ぜひそちらを参考にしてください。

関連記事

行動計画を設計するための方法がこちら
目標達成確率を上げる行動計画の作り方と成功のための6つのコツ

推薦図書もご紹介

ここまで目標設定の理論と実践方法を紹介してきましたが、理解を深めるための推薦図書もご紹介します。オモテとウラの目標の話では遂行目標と習得目標という考え方を解説しましたが、この考え方をより実践的にわかりやすく解説しているのが以下の2冊です。

いずれも目標設定に関する科学的研究では著名な教授の書籍ですので、科学的に実証された目標達成プロセスについて理解を深めたい方には非常におすすめです。

おわりに

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今回の記事では「そもそもなぜ目標を設定するの?」という問に対して、目標設定理論を紹介しながら本質的な部分を解説し、その上で具体的な実践方法をまとめました。


前述の通り目標を設定するだけでは実現しませんので、目標達成の全体像を把握した上で取り組んでいきたいかたは、以下のリンクをご参照ください。

目標達成の基礎講座

<基礎講座>
目標達成の基礎講座│失敗しない目標達成のための科学的知見と達成プロセスまとめ
【STEP1】自分を理解する
【STEP2】目標を設定する
【STEP3】行動を計画する
【STEP4】実行を習慣化する
<コラム>
自己分析なんて本当に意味があるの?│科学的研究成果からの結論
自分の価値観を知る方法│人生に迷わない自己分析の王道手順【価値観ワーク】
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自己分析は一次関数のグラフの様なもの│自己分析の意味・狙い
勉強・運動・生活習慣…コツコツ継続的に習慣化できる人の5つの特徴
<推薦図書>
目標達成に必要なすべてがここに。ブライアン・トレーシー著『ゴール』のまとめ

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