ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

【図解】論理的思考とは何か│論理の型でロジカルシンキングの実践法を紹介

【更新日】2020/08/20

思考力を鍛えて人生を変えよう!

というメッセージをこのブログでは発信しているわけですが、そもそも「論理的思考とは何か?」を語らなければ、ただ手段を喧伝しているに過ぎません。


そこで今回は

・「論理」「思考」「論理的思考」の意味は?
・「論理」にはどういう型があるの?
・具体的にはどう実践したらいいの?

の全体像を解説していきます。非常に長い記事ですので、目次を使いながら少しずつお読み下さいませ。

「論理的思考(ロジカルシンキング)」とは?

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「思考」の定義

まずは言葉の定義から。「思考→論理→論理的思考」の順に解説します。

思考(する)・考える

  • 自問自答すること
  • 自ら問いを立て、その答えを導き出すこと

「考える」って「答えを出すこと」じゃないの?

と考える方もいるかもしれませんが、与えられた問いに答えるのは「反応」しているだけであり、主体的に思考しているとは言えません。また、「考える」と「悩む」の境目

・考える
→自ら疑問に思うことを「問い」として立てて、その「答え」を導き出す
・悩む
→「問い」ばかりがたくさん頭に思い浮かび、「答え」を導き出せていない

この理解があれば、「~というのも考えられるけど、でも…」と悩んでいる人に対して

問いばかりで答えが選べないのは、考えてるんじゃなくて悩んでいるだけじゃない?

とはっきり説明することが出来ます。

「論理」の定義

次に「論理」です。デジタル大辞泉の定義から一般的な説明を紐解くと

論理(読み)ロンリ

  1. 考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。「論理に飛躍がある」
  2. 事物の間にある法則的な連関。

一番わかり易いのは「筋道」という言葉でしょうか。道を一歩ずつ歩いていく姿は、論理を1つずつ展開することに似ています。これをより実践的に理解すると

「論理」とは

  • 複数の事象を関連付ける一定のルール・筋道

論理とは関連付けのルールである!

と覚えておくのはわかりやすいですね。では、そのルールにはどのようなものがあるかというと

論理の3つの型
①"言い換え"【具体と抽象の論理】
「同じ事象は、具体化・抽象化して言い換えることが出来る」という論理
②"構造化"【分析と総合の論理】
「複数の事象をそれぞれ1つの部分と見立て、それらを組み合わせることで1つの全体として構造化することが出来る」という論理
③"因果関係"【原因と結果の論理】
「複数の事象を、あるものが原因、あるものがその結果として時系列に沿って関連付けることが出来る」という論理

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この3つの「論理の型」というルールを使って考えることが論理的思考というわけです。新しい概念の様に感じるかもしれませんが、

・「これとこれは同じだね」=言い換え
・「もっと全体を整理して話して!」=構造化
・「なんでそんなことになったの?」=因果関係

こうした考え方を日々当然のように使っていますよね。これらがまさに複数の事象を論理のルールで関連付けているということです。3つの型の具体的な内容については、以降で詳しく説明します。
 

「ロジカルシンキング」とは?

「ロジカルシンキング」は日本のビジネス界における用語であり、『ロジカル・シンキング』という書籍、およびこの流れを汲む一連の書籍群で紹介される思考テクニックのことを指すとみるべきでしょう。

この記事を読んでいる方なら多くの方がご存知の通り

といった特定の思考のツールをビジネスの現場で効率的に活用することが「ロジカルシンキング」という言葉の実際的なニュアンスのように感じます。この記事およびブログでは、ここまでの理解を前提に、広い意味での「論理的思考」について解説しております。
 

"言い換え"とは?【具体と抽象の論理】

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"言い換え"とは?【具体と抽象の論理】

3つの論理の型の1つ目「言い換え」です。まずは言葉の意味を確認しておきましょう。

"言い換え"【具体と抽象の論理】

  • 「同じ事象は、抽象化・具体化して言い換えることが出来る」という論理

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ある一つの事柄を取り上げたとき、それは必ず抽象化・具体化することで何らかの別の概念に言い換えることができます。これを「具体と抽象の論理」といいます。実際にどの様に言い換えが出来るのか、実例を見てみましょう。

具体例
◆「水」を言い換える
・水-液体【抽象化】
・水-「いろはす」【具体化】
 
◆「パグ」を言い換える
・パグ-犬【抽象化】
・パグ-ラルちゃん【具体化】

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ここで扱っている「抽象化」「具体化」の意味は以下の通りです。

抽象化

  • 事象の要素・特性を1つ取り上げて置き換えること

 
具体化

  • より詳細・明確な情報を付加した表現に置き換えること

「抽象化」がちょっと難しいなあ

というところですので少し解説します。


物事には様々な要素・特性があります。「水」なら「液体」であり「飲み物」であり「無職透明」であり「顔を洗うときに使うもの」であり…。無限に要素・特性を挙げることができます。


列挙した要素・特性のうち1つを取り上げること。それが抽象化による言い換えです。

こいつにはどんな要素・特性があると言えるだろうか?

と分析する力が問われております。

「So What? / Why So?」とは

抽象化・具体化で言い換えられることを押さえた上で、「それは単語だけじゃなくて文章でも同じことができますよ!」というのがここからのお話です。

So What?

  • 「そこから何が言えるか?」という問い
  • 具体的な文の意味合いを抽象化して言い換える

 
Why So?

  • 「なぜそう言えるか?」という問い
  • 抽象的な文の意味合いを具体化して言い換える

こちらも具体的に見ていきましょう。

具体例:So What?
【事実・出来事】展示会で100名の見込み顧客と名刺交換した
 ↓ So What?「そこから何が言えるか?」
【メッセージ】展示会は成功だ

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So What?「そこから何が言えるか?」

と考えることで、その具体的な事実から本当に伝えたい抽象的なことが何なのかを導くということができるというわけです。同様に

具体例:Why So?
【メッセージ】新規顧客の開拓が必要だ
 ↓ Why So?「なぜそう言えるか?」
【事実・出来事】既存顧客は既に8割が十分にリピートしてくれている

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Why So?「なぜそう言えるか?」

を考えることで、具体的な根拠を明確にすることができます。単語でも文章でも、具体と抽象を行き来して言い換えることで思考が深まっていくというのがポイントです。
  

"言い換え"をトレーニングするメリット

この”言い換え”を鍛えるメリットを一言でいえば

頭の回転が圧倒的に早くなる

というメリットがあります。頭の回転が早い「1を聞いて10を知る」人には

"言い換え"の思考で、聞いたことから「要はこういうこと」と本質をすぐに理解できる

という特徴があります。複数の出来事を個別に記憶するのではなく「要はこういうこと」と大きく理解できれば、細かいことをいちいち覚えなくても済みますね。


また、発想力が鍛えられるというメリットもあります。「要はこういうこと」と頭に入っていることを様々なシーンで応用することができれば、常に新しいアイデアが生みだしていくことができます。
 
 
”言い換え”の思考は、本質思考につながります。物事の本質を捉え、高いパフォーマンスを示す人の考え方です。

"言い換え"のトレーニング方法&おすすめ本

"言い換え"のトレーニング方法はシンプルで、ここまでに出てきた具体と抽象の論理を愚直に日常の中で使ってください。

  • 抽象化&具体化
  • So What? & Why So?

ニュースを読んで、または人とのコミュニケーションの中で「?」と思ったものについて、頭の中で言い換えを考えるクセをつけてください。


考え方を理解するには、以下の本がおすすめです。

この記事では書ききれなかった「具体とは?抽象とは?」の深い理解が得られますので、補助教材としておすすめです。
 

"構造化"とは?【分析と総合の論理】

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"構造化"とは?【分析と総合の論理】

続いて"構造化"です。

"構造化"【分析と総合の論理】

  • 「複数の事象をそれぞれ1つの部分と見立て、それらを組み合わせることで1つの全体として構造化することが出来る」という論理

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ざっくりと「部分と全体の関係」とイメージすればわかりやすいかと思います。"構造化"を成り立たせているのは「分析と総合の論理」です。1つの要素から部分に分けるのが分析、部分を1つの集合体としてまとめあげるのが総合です。
 

以下、具体例を見ていただきますが、事象を分析する際は一定の切り口(あるいは軸)を設定します。

具体例
◆「ワイン」を構造化する

  • ワイン - 赤 / 白 / ロゼ
  • 切り口(軸) 「色」

  
◆「バッグ」構造化する

  • バッグ - 手で持つ / 身体にかける / 押す・引く
  • 切り口(軸) 「持ち方」

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複数の情報同士の関係性を整理する!

というのが構造化の特徴で

「今日はシラーかな」
「珍しくグルナッシュでもいってみるか」

構造化がなされていないと具体的な品種間の関係が頭の中で理解されることは難しいわけです。多くの情報を正しく理解するためにも、この構造化という整理方法は必須になります。

「MECE」とは

ここでMECEという概念を説明します。

MECE(ミーシー)

  • Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(互いに排他的で、集合として完全である)の頭文字をとったロジカルシンキングの用語
  • 日本語では「ダブりなく、漏れなく」という意味

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非常に有名な概念ですので、多くの方が聞いたことのある言葉なのではないでしょうか。情報を構造化する際には、ダブリや漏れがあると、正しく全体を定めることができないので注意しましょう、ということですね。

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MECEな分解が構造化の大前提ですので、必須スキルと言えます。
 

マトリクスとは

構造化、MECEな分解が理解されると、論点を平面的に整理するマトリクスが使えるようになります。

マトリクス

  • 1つのテーマを縦横2つの軸で分割し、論点をわかりやすく整理する方法
  • x軸y軸で4象限を作り選択肢をプロットするもの、複数の行・列で表を作り各マスについて評価するものなど、様々なバリエーションがある

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分割された情報の意味が分かりやすい!

マトリクスに整理することで、様々な選択肢の位置づけが明確になったり、見えていなかった新しいセグメントが見えるようになったり、情報そのものの新しい意味が見えてきます。

具体例
営業計画の策定
<マトリクス>
縦軸ー顧客関係 既存顧客or新規顧客
横軸-企業規模 大企業or中小企業
<活用法>
2×2で4マス作り、それぞれのセグメントについて議論を深める

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こちらは上記のx軸y軸型とは異なる、行列で表を作るタイプのマトリクスです。セグメントを具体的に定義出来るため、ターゲットの議論を行うマーケティングや営業の現場では日々活用されていますね。
 

「ロジックツリー」とは

続いて、構造化の具体的な手法の一つ、ロジックツリーを紹介します。

ロジックツリー

  • テーマを2段、3段…とMECEに分解し、部分と全体をツリーの形に整理する手法

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左から右に、1段ずつMECEに分解していくことで、詳細な部分と課題の全体の関係性が整理されます。

ロジックツリーはどんなときに使うの?

が大事なところ。自分がよく知っている情報を構造化しても、頭の整理にしかならないわけでして。


ロジックツリーの一番の強みは「どんなに難しいテーマも、論理的に噛み砕いていくことで、きちんと考えられるものになる」というところ。

こんな課題を与えられちゃったけどどうしたらいいかな…

というときが、ロジックツリーの出番です。


ロジックツリーで課題を分析するときには、以下の通り3つの類型を使い分けていくことになります。

ロジックツリーの3つの類型

  • 要素分解 Whatツリー

 「~の要素は何か?」と要素に分解

  • 課題分解 Howツリー

 「~するには?」と課題やタスクを分解

  • 原因分析 Whyツリー

 「~の原因は何か?」と原因を分析

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具体例
はじめてクライアント向けの提案書の作成を命じられたAさん

  • Whatツリーで「提案書」の全体構成を整理
  • Howツリーで「提案書」を完成させるためのタスクを検討
  • Whyツリー提案がうまくいかなかった失敗の原因を分析

■Whatツリー
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■Howツリー
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■Whyツリー
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このような形で、不慣れな仕事でもロジックツリーを使いながら一連の仕事をこなしていくことが可能になります。なお、実践を進めていくと

こういうときはどう考えたらいいだろうか…?

というロジックツリー実践上の具体的なお悩みに直面することもあるはず。実践者の方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

「フレームワーク」とは

マトリクスとロジックツリーは、MECEに基づいて自分で分析のフレームを作るやり方でした。しかし

同じ分析をするなら、分析の軸も同じになるんじゃない?

ということで、特定の目的ごとに最適化されたMECEな分析のパターンが既にたくさん存在し、それをフレームワークといいます。

フレームワーク

  • コミュニケーションや分析を効果的に行うための、予め設けられたMECEな分解のパターン
  • 【例】経営戦略・事業戦略・マーケティング

  PEST / VRIO / PPM / 5FORCEs / 3C / SWOT / STP / 4P / AIDMA など

  • 【例】日常業務・業務改善・コミュニケーション

  PREP / SMART / As Is - To Be / SUCCESs / PDCA / KPT / YWTM / 5W1H など

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この記事ではそれぞれに深く踏み込んだ説明は行いませんが、先人の知恵を使って筋のいい分析をすることも大切なことですので、余裕がある人はフレームワークの勉強もしてみるといいかもしれません。

"構造化"をトレーニングするメリット

"構造化"という論理は、とにかく情報の全体像を正確に把握するために役立ちます。人間はどうしても目の前に見えているものに反応してしまいますが、そういうときに一歩引いて

それって論点が違いませんか?

と切り込めるのは、この構造化が上手い人の特徴です。
 

また、全体像をよく理解した上で考えているため、「わかりやすい話ができる」というメリットもあります。

あの人の話はいつも分かりづらいんだよな…

というとき、その人は自分の見ているものだけを大きく取り上げて話してはいませんか? 全体像を整理して話すことができれば、自分と相手が常に共通認識を持ちながらコミュニケーションできるので

あの人がいると助かる!

と言われるようになります。
 

"構造化"のトレーニング方法&おすすめ本

"構造化"は、"言い換え"と異なり、具体的な実践方法を身につけることが目的になります。以下の順番でトレーニングを進めましょう。

  1. 「MECE」を理解し、自分で出来るようになる(身近なテーマで実際にやってみる)
  2. 「ロジックツリー」を理解し、自分で出来るようになる(すると「マトリクス」までは出来るようになっている)
  3. 人とのコミュニケーションの中で使ってみる(仕事でマトリクスやロジックツリーが有効に使えれば最高。日常会話の中でも意識して論点を2~3に分析してみる)

これらを実践する上でのおすすめ本はこちらです。

読みやすいマンガ形式ですので、このブログと合わせて読み進めていただければ、具体的な実践方法まで含めて理解できるはずです。同書の解説記事もありますのでぜひご覧ください。

"因果関係"とは?【原因と結果の論理】

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"因果関係"とは?【原因と結果の論理】

「3つの論理」の最後は"因果関係"という論理展開、「原因と結果の論理」についてです。

"因果関係"【原因と結果の論理】

  • 「複数の事象を、あるものが原因、あるものがその結果として時系列に沿って関連付けることが出来る」という論理
  • 直感的に結びつけることには価値がなく、その因果関係に再現性があるかどうかが重要なポイント
  • 人間には様々な認知バイアスがあり、因果関係を誤って認識してしまうことが多々ある

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色々と補足が入っていますが、先に具体例をみていきましょう。

具体例
◆「大雨が降る」という事象の因果関係
・【原因】温かく湿った空気が山にぶつかる
 →【結果】大雨が降る
・【原因】大雨が降る
 →【結果】鴨川が増水する
 
◆「お腹がすく」という事象の因果関係
・【原因】健康のためのプチ断食に取り組んでいる
 →【結果】お腹がすく
・【原因】お腹がすく
 →【結果】「集中力が下がる」

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ある結果は何かの原因であり、またその原因には更なる原因がある

というのが因果による物事の繋がりです。この因果関係のつながりを考察するのが原因と結果の論理です。
 

「認知バイアス」とは

実はこの"因果関係"の考え方が、最もかんたんに見えて最も難しい論理です。人間には「認知バイアス」というものがあり、直感に従って判断すると因果関係の認識にエラーが含まれてしまうからです。


この記事ではバイアスの議論には踏み込みませんが、1つだけ紹介するなら、例えば「確証バイアス」というものがあります。

確証バイアス
自分が結論を確信していると、その結論を肯定する事象しか目につかなくなる

これがあることによって

この取り組みは成功するだろう

と確証を持っているときには、成功の後押しになるプラスの情報ばかりが目に付き、失敗につながるようなネガティブな情報には意識が向かなくなってしまいます。


バイアスがあると「関連のないものを関連付ける」というエラーが起こり、因果関係の推定に失敗します。
 

「ブランチ」とは

バイアスによる因果関係の推定ミスをなくすためにはブランチという手法を使います。

ブランチ

  • 「ボックス」「矢印」「バナナ」の3つを使って科学的に因果関係を記述する方法
  • ボックス:原因や結果となる事象を記述するスペース
  • 矢印:原因と結果のつながりを示す記号。根元側が原因、先端側が結果
  • バナナ:複数の原因の組み合わせによって結果が起きることを示す記号

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この手法で最も重要な要素は「バナナ」です。私たちは、直感的に因果関係を記述しようとすると、1つの結果に対して1つの原因を紐付ける形で書いてしまいがちです。「大雨が降る」の例もそうでした。


しかし、現実の因果関係はそれほど単純ではありません。「温かく湿った空気が山にぶつかる」という原因があったとき、必ず「大雨が降る」という結果が起きるかと言うと、必ずしもそうではありません。何らかの事情があれば、「温かく湿った空気が山にぶつかる」が起こっても雨が降らないことだって論理的には起こりえます。
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なぜそうなるかというと、理由はシンプルで

現実において1つの結果は複数の事象が相互に影響しあって起きるから

です。出来事同士の相互作用を無視して、「これがあれば必ずあれが起きる!」ということはできないのです。


言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、では、この当たり前のことをどの様に図解で表現しましょうか。それが「バナナ」なのです


Aという事象とBという事象の相互作用によって、Cという結果が起きる。この「相互作用」の部分を「バナナ」で表現します。
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原因1・原因1・原因3…と複数の条件が揃った場合に、結果Xが起きる。この世の中の複雑性をブランチで表現することで、科学的に因果関係を思考することができます。
 

このブログではブランチの使い方についても詳しく記事を書いていますので、ぜひそちらもご参照ください。

"因果関係"をトレーニングするメリット

バイアスを回避し、科学的に論理を考察出来るようになると、問題の本質的な根本原因を特定できるようになります。


問題の根本原因が分析できるようになると、問題の一つひとつに対症療法をする必要がなくなり物事の本質だけに集中できるようになります。無駄なことを排除し、意義のあることだけに集中できるのです。
 

また、ビジネスなどで圧倒的な成果を出す人は、必ずこの"因果関係"に精通しています。知識と経験から

こうなったらこうなる。だから…

と常に未来に起こることを予測し、戦略的に意思決定できるようになります。


未来予測の思考は、言い換えれば仮説思考です。仮説を持って未来を考え、起こったことから仮説を検証し、更に仮説の精度を高めていく思考法です。「本質思考」「仮説思考」をまとめて「思考法の教科書」にまとめていますので、ぜひご参照ください。

"因果関係"のトレーニング方法&おすすめ本

"因果関係"のトレーニング方法は、まずはブランチに慣れることから始まります。ブランチのルールに則って様々な事象を自分なりに分析するところから始めましょう。

  1. 「ブランチ」の使い方を理解する
  2. 「ブランチ」を使って身近な事象の因果関係を分析してみる
  3. 【発展】「ブランチ」を使った問題解決の手法を理解し、実践する

"因果関係"の思考方法は、日本においてまだ普及しているとはいい難い状態です。関連書籍は非常に少ないですが、まずは以下の書籍から取り組むことをオススメしています。

企業向け「ロジカルシンキング研修」パワーポイント制作

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新入社員や内定者研修、若手社員向け研修の実施、どうしよう?

外注の講師を頼むのもお金がかかるし、資料さえあれば教えられるんだけど…

というニーズにお答えして、この度ウワノキカクで制作した企業向け「ロジカルシンキング研修」のパワーポイント資料が、株式会社HEART QUAKEより販売開始となりました。このブログでも紹介している様な「論理的思考」の全体的な考え方から個別のテクニックまで、スライドを用いて読み上げることで研修ができるように設計されています。


全体のボリュームはAppendixも含めて150ページを越えております

もくじ
【ロジカルシンキングの基礎】
1.ロジカルシンキング(論理的思考)とは
 ✓ ロジカルシンキングとは
 ✓ ロジカルシンキングが必要な理由
 ✓ 論理的とは
 ✓ バイアスとは
 ✓ ロジカルシンキングの全体像
2.【要素①】”言い換え”を学ぶ
3.【要素②】“構造化”を学ぶ
4.【要素③】”因果関係”を学ぶ
 
【ロジカルシンキングの実践】
1.1人でできるロジカルシンキング
 ✓ 目的・目標を設定する
 ✓ 仕事の進め方を決める
 ✓ 報告書を作成する
 ✓ 失敗経験から学ぶ
2.2人でできるロジカルシンキング
 ✓ 自分の考えを伝える
 ✓ 的確に質問する
 ✓ 成功条件・失敗条件を考える
3.みんなでできるロジカルシンキング
 ✓ ファシリテーション&ディスカッション
 ✓ プレゼンテーション
 
【ゲームで学ぶロジカルシンキング】
 ✓ 帽子ゲーム
 ✓ モンスタービルディング
 
Appendix:印刷用資料

全体を使っても勿論OKですし、部分的にかいつまんで使っていただいてもOKです。興味のある方は、下記ページより全ページが見られるサンプルPDFを取り寄せて見て下さい。

おわりに

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大変長い記事でしたが、以上が論理的思考、ロジカルシンキングの全体像です。今一度「もくじ」に戻ってみてください。ここまで読んで来た方は、その具体的な内容と全体像が頭の中で整理されているのを実感できると思います。


このブログでは「思考の教科書」として、論理的思考に限らず、様々な思考法を紹介していますのでそちらもぜひ御覧ください。


引き続き「言い換え」「構造化」「因果関係」の3つの論理の型についての解説を増やしていきますので、TwitterのフォローやSNSでの記事のシェアなどよろしくお願い致します。

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論理的思考の基礎講座

<総論>
【第0講】論理的思考の本質
【第1講】「考える」の実践的定義を学ぶ
【第2講】論理的思考の本質を理解する
【第3講】論理を使って「理由」を深堀りする方法
【第4講】論理的思考の完全講義【図解】
<各論>
【言い換え】
同じ意味で言い換える論理の型「言い換え」とは?│論理的思考と抽象度の濃密な関係
【構造化】
構造化って何?なぜ必要?│合理的な意思決定に構造化の論理展開が必要な理由
合理的な意思決定の根幹「構造化の論理」具体的実践方法①ー分析
合理的な意思決定の根幹「構造化の論理」具体的実践方法②ー総合
構造化の思考「ロジックツリー」実践上のポイント
【因果関係】
因果関係の思考とは何か
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<まとめ>
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