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【論理の原則「因果性」ってなに?】
— ウワノタカオ (@Uwapon) 2020年7月31日
私たちが当たり前のことと思っている「因果関係」。その背景には「因果性」という原則があります。
✅モノ・コトには一定の「変化する性質」が備わっている
✅一定の条件が整うと「性質通りに変化」が起きる(=法則性)
「論理」を本質から理解しよう!#朝論理 pic.twitter.com/nTarJpZJpK
今回の題材は「因果性」。
「論理」という概念を使いこなすための必須な考え方ですので、この記事で導入部分を解説していきます。
コップは割れるか!?
「因果関係」の存在
私たちは日常的に「~の原因は」「~という結果が」という形で「原因」「結果」という言葉を使っています。
例えば、ガラスのコップが手元にあり、それを机の上から落としたならば、そのコップは割れてしまうだろうと予想します。
【原因】コップを落とす
↓
【結果】コップが割れる
こうした原因と結果の関係、すなわち因果関係を私たちは推論しています。
ある事象を、現実に起こった「結果」として認めるならば、そこには必ず「原因」がある。
原因と結果のつながりである「因果関係」というものが存在するということが、「因果性」という言葉を理解するためのスタート地点です。
想定外の結果をどう捉えるか?
「因果関係が存在する」ということは前提とした上で、「想定外の結果をどう捉えるか?」について考えてみたいと思います。
例えば、「ガラスのコップを机の上から落とせば、コップは割れるはず」と思いながらコップを落としてしまっても、「割れずに済んだ」ということは現実的にありえます。
いくらそれが想定外の結果だったとしても、割れずに形を維持したコップを見て「何で割れないんだ!奇跡だ!」と騒ぎ立てることはないわけです。
「落とした先にカーペットが敷いてあり衝撃が吸収された」
「机と言ってもローテーブルだったので、割れるほどの高さではなかった」
「割れにくい強化ガラスのコップだったので衝撃に耐えられた」
このようなその場の現実に応じた解釈の修正はいくらでも可能です。
言い換えれば、「ガラスのコップを机から落としたけれど、割れなかった」という出来事は、「当初の想定(=落としたら割れる)とは違った」という意味では想定外ですが、「割れなかったことも理解できる」という意味では想定内だと言えます。
想定外の出来事が起こっても、現実に合わせて瞬時に想定を修正し、解釈し直す能力を私たち人間は持っています。
言葉にするとなかなか複雑なことを、私たちは当たり前のこととして日々やってのけているのです。
想定外の結果が想定外ではなくなる理由
なぜ、「想定外だが、コップが割れなかったことも理解できる」と現実に合わせた再解釈能力を私たちは発揮できるのでしょうか?
私たちの直感的な前提として、ガラスのコップが割れるか否かの判断には
コップが受けた衝撃 > コップの強度
という不等式が成り立つときにコップが割れるという法則があります。
「落としたコップは割れなかった」という事実を目にした瞬間に
【原因】
●「コップが受けた衝撃」が小さくなる原因
カーペットが敷いてある・机はローテーブル
●「コップの強度」が大きくなる原因
強化ガラスのコップ
↓
【法則判定】
コップの強度が勝った
コップが受けた衝撃 < コップの強度↓
【結果】
コップは割れない
という因果関係の推論が働くため、「ガラスのコップを落としたら割れてしまうと思ったけれど、割れなかったとしても理解できる」という認識になります。
つまり、「『コップが割れなかった』という起こった出来事は想定外だけれど、法則に照らして見れば何ら矛盾はない」というときに、想定外の現実を上手に再解釈することができるわけです。
「因果性」って何?
因果関係の推論モデル
さて、ここまでガラスのコップの例で私たちの因果関係の認識について確認してきましたが、大切なのは
私たちは、目の前の現実を「法則」に照らして判断している
という事実です。
「コップが割れるか否か」の判断は、カーペットがあったり、机がローテーブルだったりする事実的な原因を総合的に考慮し、それが「コップが受けた衝撃がコップの強度を上回ったとき、コップは割れる」という法則に照らして行われました。
これを一般化すると、私たちは実際に起きる因果関係を1つ抽象度が高い法則に照らして推論しているということができます。
これが、私たちの因果関係の推論モデルです
「抽象度」という概念の解説
◆「抽象度」とは何か?│同じ意味で言い換える論理的思考の型「言い換え」と抽象度の関係
「因果性」とは何か
この因果関係の推論モデルが理解できると、「因果性」という概念が理解できます。
【論理の原則「因果性」ってなに?】
— ウワノタカオ (@Uwapon) 2020年7月31日
私たちが当たり前のことと思っている「因果関係」。その背景には「因果性」という原則があります。
✅モノ・コトには一定の「変化する性質」が備わっている
✅一定の条件が整うと「性質通りに変化」が起きる(=法則性)
「論理」を本質から理解しよう!#朝論理 pic.twitter.com/nTarJpZJpK
因果性とは、いわば「変化の法則性」です。
私たちは目の前の現実を抽象度の高い法則的な何かに照らして判断していますが、そもそも「変化の法則性なんてない!」ということであれば、因果関係の判断などできなくなってしまいます。
因果性とは「変化には法則性がある」という前提そのものです。
「因果性」の2つの特徴
この「変化の法則性」ということをもう少し詳しく噛み砕くと
✅ モノ・コトには一定の「変化する性質」が備わっている
✅ 一定の条件が整うと「性質通りに変化」が起きる(=法則性)
ということになります。
「変化する性質」とは
「コップは割れる」
「コップには水を貯めることができる」
「DNAは遺伝子発現を引き起こす」
など、モノ・コトがもともと持っている機能や作用のこと。
あらゆるものには、それ自身が変化を引き起こす性質がもともと備わっているということです。
しかし、そうした性質も特定の条件が揃わなければ発揮されません。
「コップは割れる」
という性質があったとしても、これまでの例で見てきた通り、一定以上の衝撃を与えなければ当然その性質は発揮されません。
「コップをローテーブルからカーペットの上に落とす」
という条件では、与える衝撃が弱すぎて「コップは割れる」という性質を引き出すことができないのです。
この「一定の条件をクリアすると性質通りに変化が起きる法則性」というのが「因果性」の2つめのポイントです。
コップには
強度を上回る衝撃を受けると割れる
という法則がありましたので、現実の原因がそのラインを超えていなければ「割れる」という結果を引き起こすことにはなりません。
✅ モノ・コトには一定の「変化する性質」が備わっている
✅ 一定の条件が整うと「性質通りに変化」が起きる(=法則性)
この2つのことを前提に、私たちは因果関係を推論し、社会生活を営んでいるということになります。
「因果性」を使った実践的な思考テクニックとして「本質思考」「仮説思考」を解説しています
◆本質思考の基礎講座│抽象的思考を使いこなし、本質を見つける人の発想法
◆仮説思考の基礎講座│知的好奇心を武器に自分の頭で考える人の発想法まとめ
おわりに
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<総論>
◆【第0講】論理的思考の本質
◆【第1講】「考える」の実践的定義を学ぶ
◆【第2講】論理的思考の本質を理解する
◆【第3講】論理を使って「理由」を深堀りする方法
◆【第4講】論理的思考の完全講義【図解】
<各論>
【言い換え】
◆同じ意味で言い換える論理の型「言い換え」とは?│論理的思考と抽象度の濃密な関係
【構造化】
◆構造化って何?なぜ必要?│合理的な意思決定に構造化の論理展開が必要な理由
◆合理的な意思決定の根幹「構造化の論理」具体的実践方法①ー分析
◆合理的な意思決定の根幹「構造化の論理」具体的実践方法②ー総合
◆構造化の思考「ロジックツリー」実践上のポイント
【因果関係】
◆因果関係の思考とは何か
◆因果関係の思考「ブランチ」実践上のポイント
<商品販売>
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◆「考えさせるロジカルシンキング研修」のやり方と実践のための資料
◆論理的思考・合理的判断をインストールし組織の業績・パフォーマンスを高めるには?
<まとめ>
◆論理的思考の基礎講座
◆思考法・問題解決【全体解説】
◆本質思考の基礎講座
◆仮説思考の基礎講座