ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

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思考の抽象度を上げるロジカルコミュニケーション力トレーニング

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論理的な思考力を高めるには「抽象度」という概念をしっかりと実践の中で使いこなす必要があります。


「抽象的な思考に慣れよう!」と耳にすることもありますが、日々の訓練として具体的にどの様なことを意識すれば、抽象的な思考力を身につけることができるのでしょうか?


そこで今回は、「言い換え」という論理の型を使ったコミュニケーション

思考の抽象度を上げるロジカルコミュニケーション力トレーニング

をお届けします。

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思考の抽象度を上げるロジカルコミュニケーション力トレーニング

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思考の抽象度を上げるトレーニング方法一覧

抽象的な思考に慣れ、ビジネスでも日々のコミュニケーションでも上手に活用できるようになるためには、以下のステップを踏んで一つずつ訓練していきましょう。

思考の抽象度を上げるトレーニング方法一覧
①具体・抽象の列挙
②抽象→具体の往復
③二段階抽象化
④抽象→具体の二段階往復
⑤文の具体化
⑥文の抽象化

後半に進むに連れ、一段ずつ難易度が上がっていく構造になっています。


前から1つずつ確認しながら「これはできる」「これはちょっとむずかしい」といったところを見極めながら、毎日のスキマ時間に意識的に訓練するようにしましょう。

①具体・抽象の列挙

まず1つ目が具体・抽象の列挙というトレーニングです。


非常にシンプルな内容ですが、実際にやってみると意外と難しさを感じるかもしれません。

①具体・抽象の列挙
何でも良いので単語を1つ設定し、その単語を具体化・抽象化した別の表現をそれぞれ3つずつ以上考える
 
例「シャツ」
具体化:Tシャツ・Yシャツ・ポロシャツetc
抽象化:服・上着・肌着etc

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【例題】
・水
・スマートフォン
・お金
※その他、自分でお題を設定して考えてみよう

取り組んでみると「そもそも具体化ってなんだ?」「抽象化ってどういうこと?」と、言葉の理解が曖昧であったことに気づく方もいらっしゃるかもしれません。


お題に設定した単語について実際に自分がそれと関わっているシーンを想像しながら考えるのがコツです。
 

②抽象→具体の往復

具体化・抽象化による言葉の言い換えに慣れてきたら、次は抽象→具体の往復というトレーニングです。

②抽象→具体の往復
何でも良いので単語を1つ設定し、その単語を抽象化して言い換え、更にその言葉を今度は別の言葉で3つ以上の表現で具体化する。
 
例「本」
抽象化:情報源 → 具体化:ブログ・ニュース・噂etc

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【例題】
・椅子
・コンビニ
・海岸
※その他、自分でお題を設定して考えてみよう

抽象→具体の往復をすると、自分がある関心や目的のために関わっているものが、絶対的な手段ではないことに気づくはずです。


例えば、情報を得るために読書をする習慣がある人にとっては、情報源としてブログ・ニュース・噂…と考えていくうちに、特定の手段に拘る必要がないことに自分で気づきます。


その時々の目的に合わせてベストな手段を柔軟に発想できるようにしましょう。
 

③二段階抽象化

続いて3つ目のトレーニングは③二段階抽象化です。


ここまでは抽象化も具体化も一段階上下するだけでしたが、ここからは二段階以上の抽象度の操作にも慣れていきます。

③二段階抽象化
何でも良いので単語を1つ設定し、そこから2回続けて抽象化(抽象化→再抽象化)するのを3種類以上考える。
 
例「椅子」
1)椅子→家具→道具
2)椅子→踏み台→台
3)椅子→席→スペース

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【例題】
・iPhone
・テレビ
・家
※その他、自分でお題を設定して考えてみよう

目の前にある具体物を一度抽象化すると、それは実態のない抽象概念になります。


それをもう一度正しく再抽象化するには、正しい言葉の知識が必要になることを感じるはずです。


抽象的な思考力を鍛えるには概念の意味を自分なりに理解する力や一定の知識量が必要であると感じられたのではないでしょうか。
 

④抽象→具体の二段階往復

単語・概念レベルの抽象化のトレーニングの最後は④抽象→具体の二段階往復です。

④抽象→具体の二段階往復
何でも良いので単語を1つ設定し、そこから2回続けて抽象化(抽象化→再抽象化)し、そこから二回続けて具体化(具体化→再具体化)する
具体化するときは、一度目の具体化の時点で3種類以上バリエーションを考える。
 
例「椅子」
抽象化:椅子→家具→道具
 ↓
具体化1:道具→神具→三方
具体化2:道具→調理器具→おたま
具体化3:道具→釣具→釣り竿

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【例題】
・ノートPC
・赤ちゃん
※その他、自分でお題を設定して考えよう

二段階の抽象化→具体化の言い換えを実際にやってみると、頭の中にさまざまな概念の連なりがイメージされるのが実感できるはずです。


概念を通じて様々な世界が広がっていることが実感できると、抽象度の高い視点で物事を見る習慣が身につきます。
 

⑤文の具体化

以上①~④は単語・概念レベルのトレーニングで、基礎編の位置づけです。


ここからは実践的なコミュニケーションを想定した「文」のレベルでのトレーニングです。


抽象度をコントロールする論理は「言い換え」という型で、同じ意味で具体化・抽象化することで認識を合わせることができるというテクニック。


単語・概念だけでなく、文にも具体化・抽象化という考え方が使えますので、まずは文の具体化から訓練しましょう。

⑤文の具体化
何でも良いので一文を設定し、”Why so?"(なぜそう言えるのか?)とその文の根拠を考え、文で説明する。
※意味が通る内容を自由に想像して考えてください
  

「今日のプレゼンは大成功だった」
 ↓”Why so?"(なぜそう言えるのか?)
「その場で即決がもらえたから」【根拠】

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【例題】
・「今日は雨が降りそうだ」
・「助けて欲しいけど、なかなか言い出せなくて」
※その他、自分でお題を設定して考えてみよう

自分が言いたいこと、伝えたいことがあったとき、それをそのまま相手に言ってもなかなか理解されないことがあります。


その時は、頭の中で”Why so?"(なぜそう言えるのか?)と自分に質問し、その根拠となる事柄も一緒に伝えると効果的です。


論理的なコミュニケーションの基本中の基本ですので、ぜひ日々の習慣にしましょう。
 

⑥文の抽象化

抽象度の思考トレーニングの最後は、⑥文の抽象化です。

⑥文の抽象化
何でも良いので一文を設定し、”So what?"(だから何?/そこから何が言える?)とその文の結論を考え、文で説明する。
※意味が通る内容を自由に想像して考えてください
  

「今日のプレゼンは大成功だった」
 ↓”So what?"(だから何?/そこから何が言える?)
「「準備が大事」ということを学んだ」【結論】

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【例題】
・「必死に努力した試験で初めて満点が取れた」
・「部長が何も言わずに企画を承認してくれた」
※その他、自分でお題を設定して考えてみよう

「話が長くて要領を得ない」「結局何が言いたいのかわからない」と言われた経験がある方は、この”So what?"(だから何?/そこから何が言える?)の視点が欠けていたかもしれません。


「結論から話し始める」というのは実践的なテクニックの1つですが、結論を冒頭に言うか言わないかに関わらず、常に自分が伝えたい結論を意識しておくことは非常に重要です。
 

【おまけ】「3層メッセージ」でズレなく明確に伝える

ここまでの内容を読んでくださった方には、より実践的なテクニックを1つご紹介します。

3層メッセージ
メッセージを伝えるときは、「元のメッセージ」「具体化」「抽象化」の3つの抽象度の違う内容を織り交ぜて表現すると、相手にズレなくしっかり伝わる
 

「今回のイベントは大成功でした!」【元のメッセージ】
 ↓”Why so?"(なぜそう言えるのか?)
「なんと言っても過去最高の集客。しかも、満足度100%です!」【具体化】
 ↓”So what?"(だから何?/そこから何が言える?)
「当社のブランドイメージ向上に直結したと言えそうです!【抽象化】

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「言い換え」の型を使って話すだけで、相手にとって非常に論理的に聞こえるロジカルなコミュニケーションができるようになります。


論理的なコミュニケーションの基本中の基本

”Why so?"(なぜそう言えるのか?)
”So what?"(だから何?/そこから何が言える?)

これらを使いこなすことが、抽象度という概念をしっかり理解することの第一歩です。


ぜひ、意識的に活用してみてください。
 

おわりに

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