ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考・問題解決のトレーニング

問題解決や論理的思考を探究し続けるブログです。企業でも個人でも、抜本的なビジネス改善から日々のアイデア仕事まで、定めた目的を達成するためのあらゆる営みを「問題解決」と捉えて、理論と実践を一つの体系でシンプルに整理・統合することを目指しています。

自己分析なんて本当に意味があるの?│科学的研究成果からの結論

自己分析なんてやって、本当に何か意味があるの?

という疑念、あるいは不安もあろうかと思います。

・性格診断サービス→どうせ遊びでしょ?
・価値観ワーク→言葉を見つけて意味があるの?

みたいに疑ってしまう一面もあるわけです。


そこで今回は「自己分析・自己認識・自己省察」に関する研究を読み解くことで

自己分析にはどれほどの意味があるのか?

というところを見ていきましょう。

自己分析には意味があるのか?-科学的研究成果からの結論

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結論:自己分析は成果にも幸福にも意味がある

結論から言えば、数々の心理学・行動経済学などの科学的研究成果が

自己分析は成果(パフォーマンス)にも幸福にも意味がある!

ということを主張しています。


具体的にどういう研究成果が出ているかというと…

自己分析の有効性に関する研究例

  1. メタ認知力は学生のパフォーマンスを向上させる(1992)
  2. 自己認識は自制心・創造性・自尊心に必須(2004)
  3. 自己認識はビジネスマンの仕事の成果を向上させる(2015)
  4. 強みの意識は幸福度・人生の満足度を向上させ、うつのリスクを下げる(2019)
  5. (当然ながら)日本人にも効果はある(2016)

ざっと調べてもこれだけの研究成果が出てきますので、自己分析を起点とした取り組みの成果は間違いないと言えそうです。
 

自己分析は人と差をつける大きなチャンス

しかも、これだけ有効なものでありながら

95%の人が「自分は自分のことをわかっている」と思っているが、調査してみると、実際に十分に自分を理解している人は全体の10~15%程度である

という調査結果も出ています。

つまり、自己分析を通じて自己理解を高めるというアプローチは、きちんとやればすぐに人と差別化できる大きなチャンスであると言えるわけです。
 

自己分析に関する研究成果の概観

1.メタ認知力は学生のパフォーマンスを向上させる(1992)

という訳で、上記で取り上げた5本の論文をざっと見ていきます。

Self-Regulated Learning: The Interactive Influence of Metacognitive Awareness and Goal-Setting(1992)

  • 89名の学生の被験者を、「メタ認知力:高低」と「介入行動:目標設定とその代替活動」に基づいて4つの実験グループに分ける
  • 全員に意思決定タスクを実施し、パフォーマンスを比較した
  • 結果、「メタ認知力:高」かつ「介入行動:目標設定」のグループのパフォーマンスが最も高かった

メタ認知力(≒自己認知能力)と目標設定行動の組み合わせによって、タスクのパフォーマンス向上が確認されたよ!

という研究です。

2.自己認識は自制心・創造性・自尊心に必須(2004)

2つ目は「自己認識は人間のどんな心理的な作用に影響しているか?」という研究です。

Self-Awareness and Constructive Functioning: Revisiting “the Human Dilemma”(2004)

  • Rollo Mayの「人間のジレンマ」分析を用いて、自己認識(Self Awareness)能力が心理的に有益に働くかどうかを研究
  • 結果、自己認識能力がなければ、「他者の視点で考える」「自制する」「創造的な成果を生み出す」「自分に誇りや自尊心を持つ」といったことができないということがわかった
  • もともと自己認識には負の側面(ネガティブな感情に陥りやすくなるなど)もあると指摘されていたが、合理的な自己基準を持ち、それが満たせそうだと思えれば、自己認識の肯定的側面をバランス良く活用できると考えられる

自己認識能力は自制心・創造性・自尊心に必要な要素だ!

と言えるのではないでしょうか。

3.自己認識はビジネスマンの仕事の成果を向上させる(2015)

次に、学生ではなくビジネスマンを対象にした研究をご紹介します。

SELF AWARENESS AND ORGANIZATIONAL PERFORMANCE IN THE NIGERIAN BANKING SECTOR(2015)

  • ナイジェリアの銀行の210人のマネジャーを被験者とし、インタビューおよびアンケートを行った
  • 結果、そのマネジャーの仕事のパフォーマンスとして、自己認識は純利益と投資回収率(ROI)に正の関連があることが確認された(一方市場シェアとの強い関係は見られなかった)
  • マネジャーや従業員の自己認識能力を高める訓練をすることが、会社に撮っては有効ではないかと示唆された

自己認識能力は仕事のパフォーマンスを高めそうだ!

ということが言えそうです。

4.強みの意識は幸福度・人生の満足度を向上させ、うつのリスクを下げる(2019)

ここまでは単発の調査・研究でしたが、広範囲のメタ分析でも自己分析の効果を実証する結論が出ています。

The Impact of Signature Character Strengths Interventions: A Meta-analysis(2019)

  • 「シグネチャーストレングス(以下「強み」)」の影響調査、つまり、自身の強みを意識的に活用することの効果を調べるため、約2400の先行研究から質の高い14件を分析し、コントロール群と比較した調査研究の結果をメタ分析としてまとめた
  • 幸福度の向上:9つの研究から、幸福度向上へ大きく影響し、効果量は0.32となった
  • 人生の満足度:7つの研究から、人生の満足度向上へ大きく影響し、効果量は0.42となった
  • うつ病の減少:7つの研究から、うつ病の減少に大きく影響し、効果量は0.21となった
  • たった2つの研究だが、強みの使用によって0.55という大きな効果量を示したものもあった
  • メタ分析で使用した既存の研究は、強みの意識的活用が生活の様々な分野で大きく貢献する可能性を示していると言える

強みを意識的に活用すると幸福度や人生の満足度を向上し、うつ病リスクを下げる効果がある!

ということが現在の最新の研究結果だと言えそうです。


ここではざっくりと「強み」と言ってしまっていますが、厳密にはVIAという診断テストによって測られるsignature character strengthsをベースにした研究のメタ分析ですので、興味がある方はぜひこちらもテストしてみてください。

5.(当然ながら)日本人にも効果はある(2016)

ここまではすべて海外の研究ですが、日本では京都の同志社大学から以下のレビュー論文が出されています。

ポジティブ心理学における強み研究についての課題と展望

  • 近年、強みを活用した介入研究が数多く行われているが、その多くは欧米での研究が中心であり、日本では強みに関する研究があまり行われていないのが現状である
  • 本稿では、欧米の研究をベースに「強みの定義」「測定方法」「強みの基礎研究」と3種類の介入タイプに分類した
  • 加えて、日本で高校生・大学生を対象に行われた先行研究3件では一定の効果が確認されているものの、そもそも研究数が少なく、日本における研究の発展に向けた課題を指摘した

日本ではまだまだ研究が進んでいない…!

というのがとてもよくわかります。


就職・転職といったビジネスの現場では自己分析が慣例化しており、社会的に定着していることを思えば、まだまだ日本でも研究拡大の余地があるように思います。

関連書籍

以上が自己分析に関する研究成果の概観ですが、書籍を通じてこうしたことを学ぶこともできます。


冒頭に

十分に自分を理解している人は全体の10~15%程度

ということを挙げましたが、その根拠を出しているのが次の本の著者であり研究者のターシャ・ユーリック氏です。
500ページを超す大著ですが、読むべき点の非常に多い、オススメの一冊です。
 

参考リンク

最後に、この記事の作成にあたって参考にしたその他リンクをご紹介します。

「パレオな男」こと鈴木佑氏とメンタリストDaiGo氏のブログです。とても読みやすくまとまっていますので、ぜひご参照くださいませ。
 

おわりに

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今回ご紹介した研究成果によって

自己分析は徹底的にやる価値がある!

ということにご納得いただければ、本腰入れて、安心して自己分析にも取り組めるかと思いますので、ぜひ以下の記事を参考にしながら自己分析を勧めていきましょう。
blog.uwanokikaku.xyz