ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考のトレーニング

論理的思考をはじめとした思考力向上のためのノウハウブログです。

メタ認知能力をトレーニングする4つの方法

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メタ認知能力をトレーニングしたい!

という方もいらっしゃるのではないでしょうか。


ビジネスで高い成果を上げるためには「自分をメタ認知する能力」が必要不可欠ですが、その能力をトレーニングする方法はあるのでしょうか?


そこでこの記事では

・メタ認知能力をトレーニングする4つの方法

を解説します。

メタ認知能力をトレーニングする4つの方法

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メタ認知とは何か

そもそもメタ認知とは何かというと「自分がどのように考え、判断しているか」を思考の対象として取り扱うことです。


通常私たちは自分の外にある事柄を対象として認知・思考しています。例えば

・外に出たら思ったよりも寒かった
「外の寒さ」を認知している
 
・今日のランチは何にしよう?
「今日のランチ」について考えている
 
・クライアントが要求する納期に間に合わせるにはどうすればいいか?
「納期に間に合わせる方法」 について考えている

これらはすべて自分以外のことについて認知したり考えたりしています。


一方でメタ認知とは、上記のような認知や思考をした自分自身の頭の中を対象にして考えることを言います。上記の例に則って具体的に例を出すと

・自分が「外が寒い」と感じたというのはどういうことだろうか?
 
・自分が今日のランチをラーメンにしたのはなぜだろうか?
 
・自分が納期に間に合わせる方法を見つけるために課長に相談したのはなぜだろうか?

この様に「どういうことか?」「なぜ?」と自分自身の頭の中の事柄を対象に取り上げ、抽象度を上げて考えるのがメタ認知です。


メタ認知能力が高まると自分自身の感じ方や考え方、行動のクセなどに気づくことができます。日々無意識的にやっていることを振り返り、それが良いことやうまくいったことであれば、その理由を理解して継続的に成功させることもできますし、逆にうまく行かなかったことについても、自分の悪いクセに気づくことで自分自身を変えていくことができます。


また、メタ認知能力が高まると人間が起こしやすいミスや判断エラーを未然に防ぐことができるようになります。「人間である以上、自分にはこんなミスが起こるはずだ」と失敗しやすいポイントを自覚することができ、自分で気づいて修正することができます。

自分自身をいち早く成長させ、よりよい状態を実現する!

ということのためには、自分に気づくメタ認知能力が必要不可欠です。
 

メタ認知能力をトレーニングする4つの方法

こうしたメリットのあるメタ認知能力ですが、日々の中で上手にトレーニングする方法がありますので、今回は以下の4つの方法をご紹介します。

メタ認知能力をトレーニングする4つの方法

  1. 思考や行動の目的を明らかにする
  2. 情報の正しさや妥当性を確認する
  3. 推論の論理的妥当性を検証する
  4. バイアスで誤った判断をしていないか確認する

目的・情報・推論・バイアスという4つの事柄を意識する!

ということによって、メタ認知能力を意識的に鍛えることが可能です。以下、具体的な実践方法を見ていきましょう。
 

1.思考や行動の目的を明らかにする

1つ目のトレーニング方法は思考や行動の目的を明らかにするです。自分が何かを考えるとき、あるいは行動を起こすときに「何を目的に考える(行動する)べきなのか?」「何を実現すべきなのか?」と自分の目的を考えるトレーニングです。


仕事でもそれ以外でも、人間がアクションを起こすときには必ず目的があります。しかし、その目的が曖昧なままに思考・行動しても、目指すものがよくわかっていない状態では、的確に考えたり行動したりすることはできません。アクションを起こす前に自分が達成すべき目的を明らかにする習慣をつけましょう。そうすることで自分をメタな視点から制御するクセがつき、メタ認知能力が向上します。

【例】思考や行動の目的を明らかにする
◆企画書を作成するとき
「企画書を作成する目的は何だろう?」と考え、目的を整理する。「クライアントから提案した商品の決済を頂く」という目的であれば、提案内容だけでなく、決済に必要な周辺情報も揃えて説明できるように準備するべきことに気づく。
 
◆上司に長期休暇を取得する日にちを相談するとき
何のために上司に相談するのだろう?」と考え、目的を整理する。「仕事に支障を出さない」「周囲に迷惑をかけない」「互いに安心して休暇を取る」といったことのために相談することがわかれば、そのためにどのようなことを話さなければならないのか、事前に相談内容を具体的にイメージできる。

「~をしなければ」と気づいてよく考えずに行動してしまうことは誰にでもありますが

立ち止まって目的を整理するメタ認知の習慣をつける!

ということによって、無駄な作業や大きな失敗を回避することができるようになります。


なお、目的を明確に意識するとうまくいくことには明確な根拠があります。人間の行動は広く問題解決であると言うことができますが、問題解決を成功させるためには

問題解決の3つのステップ
現在の状態(初期状態)を明らかにする
目指す状態(目標状態)を明らかにする
③そのギャップを埋める方法を見つける

という3つのステップを踏むことが必要です。行動の必要性に気づくのが①のステップですが、そこから一気に③に飛んでしまい、②の目指すべき状態がわからないことによって問題解決に失敗することが人間には往々にしてあります。「目的を明らかにする」というメタ認知は、こうした人間に起こりがちなエラーを防ぐためのトレーニングです。
 

2.情報の正しさや妥当性を確認する

次に情報の正しさや妥当性を確認するというメタ認知のトレーニングがあります。上記では①→③と②のステップを飛ばしてしまうことによるエラーを指摘しましたが、①の現状認識が間違っていることによって失敗してしまうことも多々あります。

【例】情報の正しさや妥当性を確認する
◆企画書を作成するとき
「クライアントに企画を提案して決済をもらわなければいけないのは正しい情報だろうか?」と考えて、情報の正しさを確認する。詳細を確認すると、「決済をもらう」と言っているのは課長であり、クライアントはまだ提案内容を承認するか決めかねている状態であることがわかった。課長の指示通りにしてしまうと、無理な提案になり却って失敗してしまう恐れもある。
 
◆上司に長期休暇を取得する日にちを相談するとき
「先日上司は『1日から一週間休む』と言ってたが、妥当だろうか?」と考えて、情報の妥当性を確認する。すると、3日には上司が出席しなければならない重要な会議が入っていることがわかり、相談する際には3日の会議のことを明示した上でどうするかを相談しなければならない。

自分が判断の根拠にしている情報は本当に正しいだろうか?

と立ち止まって考えるのは、メタ認知能力をトレーニングする上で非常に有効です。


人間の脳は非常に多くの情報を処理しており、「思い込む」「パターン処理をする」ということによってその処理の負荷を下げています。しかし、それによって情報がしっかりと吟味されないままになることも多く、それが失敗につながってしまいます。情報の正しさや妥当性を検証するメタ認知の習慣は、自分が無意識的にやりがちな思い込みのクセに気づき、乗り越えるトレーニングになっています。
 

3.推論の論理的妥当性を検証する

3つ目のトレーニングは推論の論理的妥当性を検証するです。人の論理的な推論には帰納と演繹の2つがあり、この推論の内容が妥当かどうかをチェックするトレーニングです。


まず、帰納の考え方を簡単におさらいしておくと…

帰納
いくつかの事実から共通点を抽出することで未知の事柄を推論すること

・両親、祖父母が長生きなので、自分も長生きするだろう
・5年連続で売上が増えているので、今年も売上は向上するだろう

こうした帰納の推論は、現実的には非常によく使われており実践的な有効性は非常に高いと言えます。しかし、あくまで帰納が導く結論は予想の域を出ないため、帰納に基づく推論を正しいものと鵜呑みにして判断してはいけません

ここの推論は帰納だから、間違っている可能性も十分にある

と意識して活用することが必要です。「この結論は、帰納に基づく推論だ」と意識することで自分の判断を客観的に捉えるメタ認知能力のトレーニングになります。


続いて演繹の考え方のおさらいです。

演繹
普遍的に成り立つ前提条件に基づいて個別具体の事象を推論すること

・人間は必ず死ぬ。よって、自分にも必ずいつか死ぬときがくる
・高級化粧品は高級な箱に入っている。この高い化粧水もいい箱がついていたのだろう

演繹の推論の要注意ポイントは、前提条件の「AならばB」を「BならばA」も成り立つように錯覚してしまいがちだということです。上記の例で言えば「高級な箱に入っている化粧品は高級な化粧品である」と直感的に誤解することで、「こんなに立派な箱に入っているということは、さぞ高級な化粧品なのだろう」と考えてしまいますが、これは論理的な誤りです。

「AならばB」を「BならばA」と誤解していないか?

と意識することが必要です。


帰納と演繹という推論のミスは誰もが犯してしまう失敗のポイントです。自分がどのように推論したのか、推論の論理的妥当性をメタ認知するトレーニングをすることで、ありがちなミスを防ぎ思考のパフォーマンスを向上させることができます。
 

4.バイアスで誤った判断をしていないか確認する

最後のメタ認知能力のトレーニングはバイアスで誤った判断をしていないか確認するです。人間の脳は処理の負荷を下げるためにパターン認識をしていることはすでに紹介した通りですが、そうした思考や認知の傾向のことをバイアスといいます。ここでは主要なバイアスを4つ紹介しますので、これらに陥っていないかとセルフチェックすることで、自分の頭の中をメタ認知することができます。

【例】バイアスで誤った判断をしていないか確認する
◆利用可能性バイアス
自分が思い出しやすい(=利用可能性が高い)情報をより確からしく認識してしまう

「Kで始まる単語」と「3文字目にKが来る単語」のどちらが多いかと聞くと、具体例が思い出しやすい「Kで始まる単語」の方が多いと判断してしまうが、実際は「3文字目にKが来る単語」の方が3倍多い(Tversky & Kahneman 1973)
 
◆連言錯誤
具体的なイメージを喚起する複数の情報を与えられると、その象徴的なイメージに引っ張られて確率的に誤った判断をしてしまう

「『眼鏡をかけた知的な男性で、和服を着て考え事をすることがある人』は、『サラリーマン』または『サラリーマンであり将棋の棋士』のどちらがあてはまりそうか?」と問われると後者と答えてしまいがちである。しかし、後者は前者に包含される概念であり、論理的には後者が前者より高い確率になることはありえない。
 
◆ギャンブラーの錯誤
一定以上の大きな試行回数があれば、実際の試行状況と確率論的に理想的な状態は一致するという大数の法則を、それが当てはまらない少数の場面に当てはめて判断を誤ってしまう

コインを投げて5回続けて表が出ると、「次はもう表は出ないだろう」と感じて表が出る確率を小さく予測してしまうが、実際は表が出る確率は1/2である
 
◆基準率の無視
明確な確率を一部分だけ示されるとついその確率が全体にとって当てはまると考えてしまい、基準率を無視したりどう扱ってよいかわからなくなってしまう

「この検査の信頼性は80%である」と言われると、検査によって陽性が出たときに自分が病気にかかっている確率がそのまま80%であると考えてしまう。しかし、本来は「その病気にかかっていて、かつ陽性と出た場合」と「その病気にかかっておらず、かつ陽性と出た場合」の2つを考慮すべきであり、実際の確率は罹患率を考慮しなければ決められない。

初めて聞いた概念が多いといまいち意味も分かりづらいかと思いますが、人間には様々な条件において発動する認知バイアスがあり、それによって間違った判断をしてしまうことがたくさんあります。

・認知バイアスにはどのようなものがあるかを知る
・自分がそのバイアスに陥っていないかを考える

といった習慣をつけることによって、自分をメタ認知する能力をトレーニングすることができます。
 

推薦図書

今回の記事は『パフォーマンスがわかる12の理論』(鹿毛雅治 編)の「思考のパフォーマンスを高める」を参考に解説しています。興味のある方は以下のリンクをぜひご参照ください。

おわりに

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メタ認知能力をトレーニングするための4つの方法をご紹介しました。内容は難しいところもあったかもしれませんが

目的・情報・推論・バイアスという4つの事柄を意識する!

という指針を持っておくことによって、自分の判断を常にチェックしていくことが大切です。


メタ認知能力の他、本質的・抽象的な思考力を高めるためのリンクをまとめておきましたので、興味のある方は以下の内容もぜひご参照ください。

本質思考の基礎講座

<基礎講座>
本質思考の基礎講座│抽象的思考を使いこなし、本質を見つける人の発想法
【第1講】「本質」とは何かを理解する
【第2講】「本質」の活用方法を理解する
【第3講】「本質的な理由」という考え方を理解する
【第4講】「本質」を自分で見つける方法を理解する
<コラム>
ちきりん氏「思考時代」に求められるのは価値体系を創り上げる「思想」の力
前提条件とロジックを自分の頭で整理する力が思考力であり理解力│箕輪氏『死ぬカス』に学ぶ
「コスパのいい知識を身に着けよう」というお話│抽象度の高い知識と思考の使い方
思考の抽象度が高い人の10の特徴│本質思考のリアルを知る
思考の抽象度を上げ、本質を捉える4つのコツ│抽象化能力・本質思考力の鍛え方
メタ認知能力をトレーニングする4つの方法
矛盾や対立があるところに本質がある
「自分のアタマで考える」とは?│本質思考としての批判的思考
「バカと言ったほうがバカ」の真理│本質思考を支える知的態度
<まとめ>
思考の教科書【全体解説】
本質思考の基礎講座│抽象的思考を使いこなし、本質を見つける人の発想法まとめ
仮説思考の基礎講座│知的好奇心を武器に自分の頭で考える人の発想法まとめ

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