ウワノキカクのキカクメモ│論理的思考・問題解決のトレーニング

問題解決や論理的思考を探究し続けるブログです。企業でも個人でも、抜本的なビジネス改善から日々のアイデア仕事まで、定めた目的を達成するためのあらゆる営みを「問題解決」と捉えて、理論と実践を一つの体系でシンプルに整理・統合することを目指しています。

「バカと言ったほうがバカ」の真理│本質思考を支える知的態度

バカって言ったほうがバカなんだからね!

と小学生くらいの頃はよく言ったものですが、そこから20年ほどして、「バカと言ったほうがバカ」というのは極めて本質的な指摘だと思い至りました。


そこで今回は

・なぜ「バカと言ったほうがバカ」が本質的なのか
・本質的に考える知的態度とはどのようなものか

について解説していきます。

べき論という思考停止の罠

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簡単に他人をバカにしてしまう私たち

まず前提を共有させて下さい。これは我々現代人が避けて通れない道なのですが、私たちは意図せずに他人のことを簡単にバカにしてしまいます。それはどういうときかと言うと、メディアを通じて自分の感情に触れる情報に出くわした時です。

・自分の考え・価値観に合った情報→他人をポジティブに反応する
・自分の考え・価値観と異なる情報→他人をネガティブに反応する

ということが頻繁に起こっており、後者のネガティブ反応のとき

何もわかっていないバカだからこんな間違ったことを言うんだ!

という意見を抱いてしまいがちです。


例えば「神戸・加害教員の給与差し止めは「世論に流されすぎ」 悪しき先例となる恐れ」というニュースがあったときに、コメント欄には様々な意見が寄せられるわけですが、記事の主張に対してポジティブな反応とネガティブな反応に二分されます(多くはネガティブな反応です)。


そして、ネガティブな反応を拾っていくと、その大半が

この人はなんてバカなんだ!

という相手を自分よりも下に見る趣旨になっていることがよくわかります。ここでバカにされているのは教育委員会や弁護士といった社会的に地位の高い人たちですが、そうした人に対しても「なんてバカなんだ」という扱いです。
 

べき論という思考停止

こうしてインターネット上で「なんてバカなやつだ」と言うときの典型的なロジックがあります。それは

前提:Sは~であるべきだ
 かつ
出来事:SであるAは~に反することをした
 ↓
結論:Sなのに~でないAはバカだ!

~すべきだ!

を押し付けるべき論という思考停止です。具体的に言うと


・教員なのに教員間でいじめをするなんてバカだ!
・弁護士なのに社会的な利益を損なう人間を擁護することを言うなんてバカだ!

こういう思考の止まった主張を目にするとしんどくなりますよね…
 

「バカと言ったほうがバカ」の真理

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本質思考を支える知的態度

私たちにとって大切なのは、「それは相手もわかっている」という前提を共有しながら考える知的態度です。具体的に説明すると


「教員は子どもに教育を施す重要な職業だ」とわかっているのに、教員間でいじめをしたのは何故だろう?
「弁護士は社会的弱者の権利を守る職業だ」とわかっているのに、社会的な利益を損なう人間を擁護することを言っているように見えるのは何故だろう?

相手もそれはわかっているはずだ

という前提が相手と自分で共有できた上で原因を考える。これが、本質思考の知的態度です。


誰かが問題を起こしたときに、その捉え方は以下の2つに分かれます。

Aさん「あの人はバカだから問題を起こしたんだ!」
Bさん「あの人だってバカじゃないのに、どうしてあんな問題を起こしてしまったのだろう?」

前者のAさんの反応は、「なんてことしたんだ」という自分の感情的な主張が先にあります。そして、問題の原因は「相手がバカである」ということに決めつけており、そこに思考は一切ありません。Aさんのロジックは

前提:バカな人は問題を起こす
 かつ
原因:あの人はバカな人だ
 ↓
結果:あの人は問題を起こした

こういう三段論法ですが「バカな人は問題を起こす人だ」はトートロジーで、そこに何の分析もありません。


一方、後者のBさんは、「問題を起こした人にも何か事情があったはずだ」と原因を仮定しています。

前提:あの人はバカじゃない
 かつ
原因:???【仮定】
 ↓
結果:あの人は問題を起こした

「相手はバカじゃない」という前提で考えるとき、問題が起こった事自体が不可思議であり、何か特別な原因があったことが推論されます。こうして、直感的にはわからない原因・理由を考えることが本質思考の頭の使い方です。

「バカと言ったほうがバカ」に見える

ここで冒頭の問いの答えにたどり着きます。「あの人はバカだ」と言ったAさんと、「あの人はバカじゃない」と言ったBさんを比べたときに、どちらがバカな人にみえるでしょうか?


バカに見えるのは「あの人はバカだから問題を起こした」と主張するAさんです。


問題を深堀りせずに結論を決めつけるという知的怠惰がAさんがバカに見える理由です。Bさんは問題が起きたことに疑問を感じて考えており、バカには見えません。
 

「何か理由があるはずだ」と考え続ける

大切なことは「何か理由があるはずだ」と考えるクセをつけること。いいことでも悪いことでも、何か注目すべき出来事が起こったときに

そんなことが起こったのには何か理由があるはずだ

と仮説を持って考えることで、自分が気付いていなかった本質的なからくりを見つけることができます。出来事をそのまま無思考に受け入れるのではなく

・どうしてそんな事になったのだろう?
・何か自分の知らないことがあるはずだ

「知らない」という知的謙遜を前提にすること、相手をバカにすることなく「自分も同じ状況だったらそうなっていたかもしれない」と想像することが本質思考を育みます。
 

本質思考を育む推薦図書

本質思考ということで言うと、自分の考え方と人生の両方を変えた本をご紹介します。

本気で自分の考える力をつけたいのであれば、この本が何をおいてもおすすめです。
 

おわりに

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バカといったほうがバカ

というのは、言い換えるならば「思考停止に陥ってはいけない」ということ。自分の知らない領域を想像し、思考を深めることでより本質的な理解を追いかけていきましょう。
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