【更新】2019-12-03
この記事は、以下の問題の解答編です。
この記事では『論理的な人の27の思考回路』(フォレスト出版/北村良子 著)から引用させていただきながら、論理的思考をテスト・トレーニングするための良問を出題します。問題は引用・一部改編していますが、解説は完全オリジナルです。
- 作者:北村 良子
- 発売日: 2018/03/17
- メディア: 単行本
【解答編】論理的思考力(問題解決力)テスト│「消えた解答」でトレーニング
それでは早速答えを見てみましょう。
【解答】A B B B A
答えそのものがあっていたかどうかよりも、論理的かつ再現性のある方法で考えられたかどうかがポイントです。自分の考えたプロセスを以下の解説と見比べて、ぜひ
こうすれば論理的に答えが導き出せるのか!
問題をどう読み解くか?【問題の分析】
問われている論理はどれか?
「論理的思考は『3つの論理の型』を使いこなすことである」というのはこのブログで繰り返し伝えていることですが、今回のテストは、その中でも「"構造化"分析と総合の論理」の能力が問われる問題になっています。
「分析と総合の論理」とは
ある問題をそのまま理解するのではなく、全体をより小さな部分に論理的に分割することで、全体を見ていただけでは得られなかった解決のためのアイデアが得られる
という考え方です。
良くない解き方
✕ 問題文や表を全体として眺めて考える
✕ なんとなく比べてみる
理想的な解き方
◎生徒の解答内容や点数を個別に見て個々の特徴を捉える【分析】
◎見えてきた特徴から言えることを組み合わせて答えを作る【総合】
表の中から意味のある特徴をいかに効率よく掴めるか?
着目すべき点はどこか?
では、今回の問題で着目すべき点はどこかというと、40点を取った「ウチダ」です。その理由を一言でいうと
「『ウチダの解答』は『ほぼこの問題の答え』である!
また、問題解決に詳しい人であれば「自由度」という概念をご存知かもしれません。
今回の場合、AB2通りの解答ができる5つの問題であるため、2×2×2×2×2=32通りの解答パターンがあります。その点数は0点・10点・20点・30点・40点・50点と6パターンありますが、それぞれの場合の数(=自由度)は以下のとおりです。
解答パターンの場合の数(自由度)
0点 1通り
10点 5通り
20点 10通り アイカワ・イトウ・エンドウ
30点 10通り オカダ
40点 5通り ウチダ
50点(満点) 1通り
今回の問題では、ウチダのみ40点で自由度が低く、他の生徒は自由度が高くなっています。このように自由度に差があるときは
自由度の低いものから注目して攻めていく!
最短距離の論理的思考法は?【解答の考え方】
ウチダから分析をはじめる
ということでウチダから見ていくと、答えにたどり着く考え方として以下の2つが導き出されます。
解法①「答え」のパターンを書き出し、総当りで確かめる
ウチダの回答「ABBAA」のうち、どこか1つの解答のABを入れ替えたものがこの問題の答えである。
5つの問題のABを1つずつ入れ替えれば5パターン作れるので、それを書き出し1つずつ検証して辻褄が合うものを見つける。
解法②ウチダと誰かを比較する
ウチダと他の生徒を比較しながら、問題1から問題5の正答を類推しながら答えを作っていく。
以下、1つずつ解説していきます。
解法①「答え」のパターンを書き出し、総当りで確かめる
ウチダの解答「ABBAA」から、1つのABを入れ替えたものは、
・BBBAA
・AABAA
・ABAAA
・ABBBA
・ABBAB
の5パターン。これらが答えだとしたときに、アイカワからオカダまで、5人全員の生徒の点数が問題文と合致するものを選べばOKです。
例えば、「BBBAA」を検証すると、アイカワは20点で合致しますが、イトウが40点になってしまい問題と矛盾が生じるため、正しくないということがわかります。
検証のプロセスは割愛しますが、この方法でいくと4つ目の「ABBBA」のみが辻褄が合うことがわかります。とても地味ですが、実行する前から
このやり方で必ず答えが出る!
解法②ウチダと誰かを比較する
ウチダと比較すべき候補は4人いますが、優先的に比較すべきはイトウとエンドウの2人です。その理由は先程の自由度と
比較とは違いを見ること!
比較とは違いを見ること
「ウチダ:ABBAA」との違いは何箇所か?
・アイカワ:BAABA → 4箇所
・イトウ:BABAA → 2箇所
・エンドウ:BBBAB → 2箇所
・オカダ:AABBB → 3箇所
イトウとエンドウの2人はウチダと3問の解答が重複しており、「比較して違いを見る」という観点からすると2問だけを見ればよく自由度が小さい。
一方で、オカダは2問の重複で3問違い、アイカワは1問の重複で4箇所違いの解答であり、「違いを見る」という点では自由度が高くなり、考慮すべき要素が多くなってしまいます。
自由度が小さいものから優先的に検討する!
ウチダとイトウの比較
▼回答
・ウチダ:ABBAA
・イトウ:BABAA
→問題3~問題5の解答が重複、問題1・2が異なる
▼得点
40点と20点→20点の差
異なる部分に注目すると、問題1・問題2の答えが違うだけで得点には20点の開きがあります。つまり、得点が勝っているウチダがこの2問で正答していたことがわかります。
ウチダとイトウの比較からわかったこと
問題1の正答=A
問題2の正答=B
同様に、ウチダとエンドウを比べると、以下のことがわかります。
ウチダとエンドウの比較
▼回答
・ウチダ:ABBAA
・エンドウ:BBBAB
→問題2~問題4の解答が重複、問題1・5が異なる
▼得点
40点と20点→20点の差
「違いを見る」という観点から分析を進めると、答えは明らかです。
ウチダとエンドウの比較からわかったこと
問題1の正答=A
問題5の正答=A
以上をまとめると「問題1=A」「問題2=B」「問題5=A」となります。
最後に、ここまでわかった情報をまだ情報を使っていないアイカワやオカダに代入します。
わかった情報を使って残りの2名を分析
問題1・2・5で何点取っているか?
・解答:AB__A
・アイカワ:BAABA → 10点
・オカダ:AABBB → 10点
例えばアイカワに代入すると、問題1・2・5で10点を取っており、残った問題3・4のいずれかで得点している必要があります。更にオカダに代入すると、問題1・2・5で10点を取っており、問題3・4で20点分を取る必要があります。
アイカワ・オカダの得点状況からわかったこと
・アイカワは「問題3=A」「問題4=B」のうち、どちらか1問で正解している
・オカダは「問題3=B」「問題4=B」のうち、両方で正解している
↓
問題3の正答=B
問題4の正答=B
結果、オカダは問題3・4ニ問共に正答しているはずですので問題3・4ともにBである必要がわかり、答えが「ABBBA」と導き出されます。
まとめ
今回の問題で扱った、論理的に考えて解答を導く上でのポイントを整理します。
①「3つの論理」のどれが主題となっているかを見極める!
→「分析と総合の論理」と分かれば、1つずつを丁寧に分析すべきことがわかる
②「自由度」の観点から分析を進める!
→自由度の小さいものから検討すれば、最速・最短・論理的に答えが導ける
③比較とは違いを見ること!
→比べるときは「どこが違うか?」に焦点を当てると必ずヒントが得られる
これらの指針を持っていれば解けるはずです。
一見難しく見える問題も、論理的に考えることで問題から解答まで、迷わずに一直線で解くことができました。ぜひ、論理的思考を自分のものにしていきましょう。
論理的思考・問題解決スキルを手軽に学ぶ
論理的思考・問題解決スキルは動画サービスで学ぶことも可能です。無料体験期間もありますので、実践的に学びたい方には動画が非常におすすめです。
論理的思考・問題解決スキルを動画で学ぶ
- 国内最大級のビジネススクールを運営するグロービスが、スマホで学べるオンライン動画学習サービスを提供しています
- スマホで好きなときに、好きなところだけつまみぐいで学べるのがポイント
- 月額1,600~1,800円程度の有料サービスですので、このブログで学びたい内容を明確化した上で、無料期間の10日間を有効活用しましょう。
文章を読むより動画で学ぶ方が分かりやすい!
おわりに
このブログでは
他にも良いテストってないの?
論理的思考力や問題解決能力ってどう鍛えたらいいの?
人のパフォーマンスや目標達成能力を鍛えることってできるの?
記事になる前の「思考法や科学の知識」「考え方のアイデア」をツイートしています。ぜひフォローをお願いします。
https://twitter.com/Uwapon
▼ご質問・ご連絡
・ウワノキカク@思考法ブロガーにマシュマロを投げる | マシュマロ
・ウワノキカクのFacebookページ
<総論>
◆【第1講】「考える」の実践的定義を学ぶ
◆【第2講】論理的思考の本質を理解する
◆【第3講】論理を使って「理由」を深堀りする方法
◆【第4講】論理的思考の完全講義【図解】
<各論>
◆構造化の思考「ロジックツリー」実践上のポイント
◆因果関係の思考とは何か
◆因果関係の思考「ブランチ」実践上のポイント
◆論理的思考・合理的判断をインストールし組織の業績・パフォーマンスを高めるには?
<商品販売>
◆ロジカルシンキング/論理的思考の指導者のための法人向け研修資料販売【無料サンプル有り】
◆「なぜ論理的思考が必要なのか?」ロジカルシンキング研修資料の冒頭をご紹介
◆「考えさせるロジカルシンキング研修」のやり方と実践のための資料
<まとめ>
◆論理的思考の基礎講座
◆思考法・問題解決【全体解説】
◆本質思考の基礎講座
◆仮説思考の基礎講座