ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

ロジカルシンキングの核心は結論と理由│論理的思考の苦手克服トレーニング

【更新日】2020/08/18

「ロジカルシンキング」ってどうにも苦手だな

と思う方も少なく無いはず。「論理的に考える」と言っても具体的にどうしたらいいのかわからず、苦手意識ばかりが強まってしまいます。


そこで今回は

・ロジカルシンキングのシンプルな本質
・論理的に考えるための3つの考え方
・具体的なトレーニング方法

をご紹介します。

ロジカルシンキングの核心は結論と理由

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本質:論理性=結論×理由

ロジカルシンキング(あるいは「論理的思考」)の最も本質的な要素は「論理性=結論×理由」という考え方です。

ロジカルシンキング・論理的思考の本質

  • 論理性=結論×理由
  • 論理的であるためには「結論×理由」のセットが必要(どちらかがゼロになると論理性もゼロになる)

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「結論×理由」のセットを考えよう!

というのがロジカルシンキングの本質部分です。日常的なコミュニケーションでありがちなのは

「結論」だけを伝える
・「お砂糖買ってきて!」
・「明日までに企画書作っておいて!」
→相手に結論を押し付けることになる
 
「理由」だけを伝える
・「プリンを作ろうと思うんだけど…」
・「明日、会議があるんだよなあ…」
→相手はどうしたらいいかわからない

どちらか一方のみを伝えることで論理性を欠いたコミュニケーションになることは日常的です。しかし、ビジネスの現場などで論理的に考え、伝えることが必要なときには

・プリンを作ろうと思っている【理由】ので、お砂糖を買ってきて下さい【結論】
・明日までに企画書を作ってください【結論】。なぜならば、明日、会議がある【理由】からです

という様に「結論×理由」のセットを意識して伝えることが必要不可欠です。相手が自分の主張を正確に理解できるようにすることが、論理的思考の最もシンプルな本質部分です。

必ず結論と理由を漏らさず伝える!

がポイントです。
 

論理性を高める方法

この「論理性=結論×理由」という式から見ると、論理性を高めて思考のアウトプット、伝えるメッセージのレベルを上げる方法は以下の2つです。

論理性を高める方法

  • 論理性を高めるためにできることは、「結論」を明瞭にし、「理由」を強固に作り込むこと
  • 「結論」は明瞭な表現で誤解がなければゴールだが、「理由」を深堀りして作り込むことには上限がない

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理由を深堀りして強固に作り込む

という考え方が大切です。

・~である
・~すべきだ

といった結論は短い言葉で表現できますし、端的かつシンプルで、誤解がない表現であればあるほどわかりやすくて望ましいです。しかし、そのわかりやすさの工夫には「誰も誤解せずに理解するまで」という上限があります。

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一方、「なぜそうだと言えるのか?」を表す理由はいくらでも深堀りして作り込むことが可能です。実際に私たちがイメージする「論理的な人」も、様々な角度から情報を分析し「その結論でなければならない理由」を作り込む能力が違っている訳です。

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例えば、以下の4つの文章を見たときに最も説得力があるのはどの文でしょうか。

①プリンを作ろうと思っているので、お砂糖を買ってきて下さい
②プリンを作ろうと思ったのですが、お砂糖がないので買ってきて下さい
③来客があるのでプリンを作ろうと思ったのですが、お砂糖がないので買ってきて下さい
④来客があるのでその人が大好きなプリンを作ろうと思ったのですが、お砂糖がないので買ってきて下さい

結論はすべて同じ「お砂糖を買ってきて下さい」ですが、より多くの情報を効果的に組み合わせることで①<②<③<④の順に結論の説得力を高めています

結論をシンプルにしたら、理由は徹底的に作り込む

というのが、論理性を高めるための視点です。
 

「論理の3つの型」を使って考える

「理由を作り込む」っていうのは、具体的にはどうしたらいいの?

ということで、より説得力の高い理由を作るためには「論理の3つの型」という論理展開の基本原理を活用します。

論理の3つの型
①"言い換え"【具体と抽象の論理】
「同じ事象は、具体化・抽象化して言い換えることが出来る」という論理
②"構造化"【分析と総合の論理】
「複数の事象をそれぞれ1つの部分と見立て、それらを組み合わせることで1つの全体として構造化することが出来る」という論理
③"因果関係"【原因と結果の論理】
「複数の事象を、あるものが原因、あるものがその結果として時系列に沿って関連付けることが出来る」という論理

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初めて目にする言葉も多いかもしれませんが、言っていることは当たり前のことで

・「これとこれは同じだね」=言い換え
・「もっと全体を整理して話して!」=構造化
・「なんでそんなことになったの?」=因果関係

こうした言い方を日常的に使いますが、複数の情報を的確に言い換え、構造化し、因果関係を明らかにすることが、論理的に考えるということです。これらの具体的な内容について図解で論理的思考の全体像を説明した記事がありますので、そちらを御覧ください。

ロジカルシンキングというとMECEロジックツリーという言葉を聞くけれど…

という声もあるかもしれません。いわゆる「ロジカルシンキング」という言葉を聞いたことがある人はこうした用語の位置づけも気になるところですので、そうした整理も以下の同じ記事を見ていただければと思います。

論理的思考の苦手克服トレーニング

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以降は、上記の”言い換え”、”構造化”、”因果関係”という論理の3つの型に沿って、それぞれの論理の使い方をトレーニングする方法を整理します。

"言い換え"【具体と抽象の論理】のトレーニング方法と推薦図書

◎トレーニング方法1「具体的にいうと?」を考える【具体化】
人の話を聞いたとき、ニュース記事を読んだときなど、外部から情報のインプットがあったときに、

それって具体的にいうとどういうこと?

と考えるトレーニングです。

具体例
◇夕食時に母親が「今日は大変な一日だった」と言ったときに、「具体的には何があったの?」と聞き返す
◇ニュースで「日本の雇用体系は転機を迎えています」と読んだときに、「具体的にはどんな転機なのか?」「具体的には何が変わったのか?」と自分が説明できるか考える

「具体的に考えるトレーニング」です。私たちは、意識しないと多くの情報をなんとなく聞き流しています。

本当にわかったの?

と思われないためにも、相手の目線に立って、具体的にどのようなことを言っているのか理解するように努めましょう。具体的な体験を共有することで、相手とより共感し、相手の立場に立って考えられるようになります。
 
◎トレーニング方法2「そこから何が言えるか?」と考える【抽象化】
2つ目のトレーニングは、目の前の出来事や人の話に対して

そこから何が言えるか?

と考えるトレーニングです。

具体例
◇同僚が「○○課長に相談したら『考えが浅い!』と怒られたよ」と話しているのを聞いて、「その話から何が言えるだろうか?」と考える
◇「遅れないように20分の余裕を見て出発したのに、到着がギリギリになった」という体験をしたときに「この経験から何がいえるか?」と考える

何らかの出来事や話、情報に出会ったときに「そこから言えることは何だろうか?」と自分なりの学びやまとめを考えるクセをつけましょう。そうすることで、自分の言いたいことや考えが自分の言葉で整理され

「何をいいたいのかわからない」
「もっと短く話をまとめてほしい」

と指摘されることがなくなっていきます。

 
【図解】論理的思考とは│論理の型でロジカルシンキングを実践的にトレーニング」では、"言い換え"の実践方法として「So What?(そこから何が言えるか?) / Why So?(なぜそう言えるか?)」を紹介しました。1つ目のトレーニング「具体的にいうと?」は「Why So?(なぜそう言えるか?)」と同じことです。2つ目の「そこから何が言えるか?」は「So What?」そのものですね。

◎"言い換え"推薦図書
"言い換え"のトレーニングにオススメの推薦図書は2冊あります。

 
1冊目のこの本は、具体と抽象の考え方が様々な切り口でイラストを交えながら書かれており、文句無しで、このテーマの最もわかりやすいオススメ書籍です。このブログでは紹介しきれなかった詳しい説明がふんだんにありますので、いの一番に読むことをオススメします。
 この本では、「『抽象化』と『転用』で思考を深める」という、メモを使った思考法が紹介されており、まさにこの"言い換え"を使った深い思考の実践方法そのものです。

"構造化"【分析と総合の論理】のトレーニング方法と推薦図書

続いて、情報の全体像を明らかにし、分析しながら理解を深める”構造化"のトレーニング方法です。
 
◎トレーニング方法3「何と比べてどう違うのか?」を考える
自分の中で「これはいい!」「これはちょっと…」と思ったときに

「何と比べてどう違うのか?」

と比較しながら情報を頭の中で整理するトレーニングです

具体例
◇「今季のこの新作、すごく好き!」と思ったときに、「これまでの何と比べてどう違うのか?」と考え、整理する
◇「○○さんの話はなんだかわかりにくいな…」と思ったときに、「誰の話と比べてどう違うのか?」と比べながら理由を考える

"構造化"の本質は「比較」です。何かと何かを並列で比べたとき、何が違いとなっているのかを考えることがスタート地点です。情報が頭の中で整理されないのは、その1つだけに意識が集中してしまうからです。複数のものを比較することを習慣化することで、

「○○には…という特徴がある」
「✕✕は△△と真逆で、タイプが全然違う」

など、広い視野で考えるクセがついてくると、その比較を軸に「構造化された情報の地図」ができ始めます。
 
◎トレーニング方法4「理由は3つあります」と言い切る
自分の意見を人に伝えるときに、結論を先に宣言した上で

「理由は3つあります」

と言い、言ってから理由を3つ考えるトレーニングです。

具体例
◇上司に「AとB、どちらの企画を選ぶべきだと思う?」と相談されたとき、「Aです。理由は3つあります」と言い切ってから、3つの理由を説明する
◇報告書を書く際に、冒頭に結論を書き「理由は3つあります」と書いてから、「1・2・3」と項目を打ち、後からその内容を考える

ポイントは「思いついていなくても、『理由が3つある』と言い切る」ことです。頭の回転の早い人は、本当にこのやり方をしています。ハードルが高いと感じられる場合、理由は2つでもいいでしょう。


言い切ってから考えることで、「結論が1つ、理由が3つ」という「構造化された情報地図」が先にあり、そこに要素を埋めていくような頭の使い方になります。繰り返すことで情報の構造を考えることが自然とできるようになってきますので、習慣にして取り組んでいきましょう。
 
◎”構造化”推薦図書
このテーマのオススメの入門書はこちら。

マンガですので誰にでも読みやすく、また、ここで紹介しなかった基本的な考え方のツールにも親しむことができるので、入門書としておすすめです。同書の解説記事もありますのでぜひご覧ください。

"因果関係"【原因と結果の論理】のトレーニング方法と推薦図書

最後に、”因果関係”のトレーニング方法ですが、これが最も難易度が高いです。以降では、このブログの他の記事もご紹介しますので、あわせて読みながら繰り返し練習していきましょう。

◎トレーニング方法5「原因は何だろう?」と考える
何か出来事が起こったときに

「原因は何だろう?」

と考え、現実的な原因として思いつくものできるだけ多く考え出すトレーニングです。 

具体例
◇社内でも優秀なメンバーを集めて取り組んだプロジェクトが失敗したとき「失敗に終わってしまった原因は何だろう?」と考える
→例:十分な準備期間がなかった・競合の方が先に取り組んでいた・自社の強みが生かせない領域だった・チームのAさんBさんは実は仲が悪いetc
◇初めてやったダーツゲームで、熟練した友人に勝ててしまったときに「勝ててしまった原因は何だろう?」と考える
→例:友人は調子が悪かった・ビギナーズラックが働いた・自分は指先が器用・友人がまた一緒にやりたいからあえて今回は負けてくれたetc

考えられる原因を書き出していると「これは違うだろ」と思うものから、「意外とこういう原因もあるかもしれない」と自分でも書き出してから気づくものもあります。大切なのは

現実的に考えうる原因を一通り出す

こと。たくさんの可能性を考えることで、自分の思い込みから離れ、客観的に物事を捉えるクセがついていきます。
 
◎トレーニング方法6「次に何が起こるだろう?」と考えて予測する
何か出来事が起こったとき、また人から話を聞いたときなどに

「次に何が起こるだろう?」

と考えるトレーニングです。

具体例
◇コンビニのレジの待機列が長くなったときに、「次に何が起こるだろう?」と考えて予測する
→例:レジの人が応援を呼んで、閉まっていたレジがオープンになる / 並んでいる人がイライラし始め、商品を戻して購入せずに店からでる
◇新人営業マンが必死に努力をしてはじめての受注を上げたときに、「次に何が起こるだろう?」と考えて予測する
→例:更に努力して頑張るようになる / 燃え尽きてしばらくもぬけの殻になる

未来を予測する頭の使い方が習慣化するだけでも素晴らしい変化ですが、そこで更に「なぜその結果になると思ったか?」の理由も説明できるようになると、なおGoodです。


現状が原因だとしたときに、その結果として何が起きるのか、仮説をもって予測する考え方が身につけましょう。それが当たり前の様に出来るようになると、「自分は未来を良くするために今何をすべきか」が考えられるようになります。

◎「ブランチ」を習得しよう!
"因果関係"の思考を実践するためには、「ブランチ」という手法を身につけることがとても大切です。以下の2つの記事が「ブランチ」の具体的な解説です。◎"因果関係"推薦図書
"因果関係"の考え方を身につける上でオススメなのは以下の2冊です。小学生を対象に書かれた本ですが、大人が読んでも「なるほど!」と思う学びがたくさんあります。因果関係の実践方法を体感するにはベストな1歩目です。その上で、上述の「ブランチ」も含めて実践的に学びたい方は次の本がおすすめです。
"因果関係"の論理的な考え方を身につけ、科学者のように論理的に思考するための高度な思考方法を、かわいらしいイラストとともに紹介している非常に読みやすい一冊です。具体的な実践方法にまで踏み込んで書かれていますので、はじめての方にはぴったりです。 

「3つの論理の型」を動画で訓練する

テクニックの大まかな紹介はブログ記事でも出来ますが、更に発展的・実践的に使うならば動画で学ぶのが一番オススメです。

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おわりに

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このブログでは「論理的思考」という切り口から、本質的な思考力を育むための情報発信を行っています。


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