ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

構造化って何?なぜ必要?│合理的な意思決定に構造化の論理展開が必要な理由

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このブログでは「論理的な思考展開には『言い換え』『構造化』『因果関係』の3つがある!」ということで、論理的な思考法の理論と実践を紹介しております。


中でも「構造化」は、合理的な意思決定をする上で必要不可欠な論理の型ですので、詳しく解説していきたいと思います。


そこで今回は

・「構造化」ってどんな論理?なぜ必要?

について説明します。

「構造化」とは何か?

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「構造化」~部分と全体のつながり~

3つの論理の型の2つめ「構造化」とは、ある事象を、情報構造の部分と全体の関係を明らかにした上で評価する論理です。

 
人間が扱うすべての概念には「抽象度」という前提がありますので、どんな事象でも

分析:具体化しながら部分にわけて評価する
総合:部分を足し合わせて抽象化し、上位概念にまとめて評価する

することができます。


そして、この分析・総合による「構造化」は、合理的な意思決定を行う上では必要不可欠な論理展開です。
 
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ここから先は

なぜ構造化が合理的な意思決定において必要不可欠と言えるのか?

を解説していきます。

「構造化」が合理的な意思決定に欠かせない理由

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【問題】「42×48=?」の計算

「構造化」の必要性を理解するために、突然ですが、以下の3つの問題に取り組んでみてください。

【問題1】
「42×48=?」の答えを計算する方法を、制限時間5秒で考えてください。
 
【問題2】
思いついた計算方法のうち、最も短い時間で計算できる方法を選択し、実際に計算にかかった時間を記録してください。
ただし、道具を使用する場合、道具を準備するところからの時間を計測すること。
 
【問題3】
かかった時間を短縮する方法を3つ考えてください。

すべてをこなすのにかかる時間は1~2分程度でしょうか。


以降の話をより実感を持って理解するために、ぜひ実際に取り組まれることを強くオススメします。
 

回答例:合理的な思考過程?

さて、いかがでしょうか。

【問題1】
「42×48=?」の答えを計算する方法を、制限時間5秒で考えてください。

こちらの問題には、多くの人が以下のように考えたのではないでしょうか?

回答例
①紙を使って筆算する
②電卓で計算する
③スマホ(またはPC)で計算する

「制限時間5秒」という縛りがありますので、直感的に選択肢を出すとしたらこれくらいが基本になり、その他若干の差し引きがあるくらいだと思います。


「構造化」という観点からすると、上記の3つの選択肢は以下の様に構造化することができます

▼自分の頭で計算する
①紙を使って筆算する
 
▼電子機器で計算する
②電卓で計算する
③スマホ(またはPC)で計算する

続いて、以下の問題です。

【問題2】
思いついた計算方法のうち、最も短い時間で計算できる方法を選択し、実際に計算にかかった時間を記録してください。
ただし、道具を使用する場合、道具を準備するところからの時間を計測すること。

上記の3択から選ぶならば、最速なのはおそらくスマホの電卓アプリで計算する方法でしょう(たまたま電卓を手元に置いていた人は電卓が最速でしょうが、そんな人はほぼいないと思います)。


スマホをテーブルに置いてから時間を測り始め、電卓アプリを立ち上げて計算式を入力し、答えが出るまで10秒前後でしょうか。

【問題3】
かかった時間を短縮する方法を3つ考えてください。

ここまでの流れで考えるならば

・電卓アプリを常に立ち上げておく
・計算式を早く入力できるように訓練する
・「42×48=?」の答えを暗記しておく(←しかしそれは「計算した」とは言わない)

3つ考えるのも難しいですが、思いつくのはこんなところでしょうか。


アプリを立ち上げた状態でスタートすれば3~5秒もあれば十分に計算できるはずですので、これでも時間の短縮には成功しそうです。


「より短い時間で計算する」という目的に照らせば、合理的な判断ができた言えそうです
 

最速の計算法に気付けるか?

3つの問題に取り組んでいただきまして

で、何が言いたいの?

と思われるかもしれませんが、話はここからです。


実は、「42×48=?」を計算する最速の方法は「インド式計算を使うこと」で、詳しい解説は省きますが、インド式計算を身に着けていれば

42×48=2016

問題を見た瞬間に即答でき、電卓を超えることができます

そんなの知識として知っているかどうかじゃないか!

と思われるかもしれませんが、分析・総合と構造化の論理をしっかり考えていればインド式計算にたどり着けた方も少なくないはずです。


まず、「制限時間5秒」という直感で答えざるを得なかったときの全体構造はこうでした。
 
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しかしこれでは「自分の頭で計算する」の中には「紙を使って筆算する」しかなく、「自分の頭で計算する」の下位概念として「暗算する」⇔「道具を使う」という分類が抜け落ちていることに気づきます。


そこでもし、時間の制限を取り払ってしっかりと構造化を考え、「暗算する」の方向について真剣に考えていたらいかがでしょうか

□ 「紙に書かず、頭の中で筆算する」というやり方もあるかもしれない(素早くできるかは別として)
 
□ 「42×48=(40×48)+(2×48)=?」のように、工夫して計算すれば暗算でも早くできるかもしれない

など、方向性を定めて具体案を考えることで新たなアイデアが生まれますし、ここで「2桁の計算なら『インド式計算』というのがあったな…」と着想する人もいるかもしれません。


更に、

「42×48 早く計算するには」
「二桁の掛け算 最速で計算」

と知りたいことをダイレクトに検索すれば、Googleの検索上位に「インド式計算」の方法を紹介したサイトが多数出てきます


つまり、今回の問題では構造化の思考をあえてさせない方向で誘導しましたが、時間の縛りがない中でしっかりと分析・総合を考えていれば、多くの人は電卓で計算するよりも早い計算方法を見つけることができたはずです。
 
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「構造化」は合理的な意思決定のために必要不可欠だ!

という理由は、情報を論理的に構造化することによって必要な情報を抜けもれなく考慮することができるからです。


部分と全体をつなぎ、全体像を正しく把握することで抜け漏れなく必要な情報を考慮することが、合理的な意思決定の土台です。
 

全体を見ることの重要性

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【ポイント①】視点の高さ(思考の抽象度の高さ)

「考慮する情報に抜け漏れがあると合理的な意思決定ができない」というのがこれまでの検討結果ですが、ここからは実践で陥りやすい課題と解決策を確認していきます。


1つめのポイントは「視点の高さ(思考の抽象度の高さ)」というテーマです。


次の様な情報構造があったとします。


X
├A
│ └ a・b・c
├B
│ └ d・e・f
└C
 └g・h・i

このとき、#1~#3の3人が、以下のように情報を持っていたとします。

#1
「A-a/b/c」を持っている
→「A」が全体だと認識している
 
#2
「B-d/e/f」「C-g/h/i」を持っている
→「B」「C」が全体で、それぞれ互いに無関係のものだと認識している
 
#3
すべてを持っている
→「X」が全体で、「A・B・C」は並列なXの下位概念だと認識している

それぞれ持っている情報が違う#1~#3の3人で議論を行うとどうなるでしょうか?
 
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まず言えるのは、#1と#2はそもそも共通認識となる情報を一切持っていませんので、議論を行っても2人の結論は当然違いますし、その結論に至る理由も違うどころか、共通認識がないため互いに言っていることが理解できません


一方、#3はすべての情報構造を網羅的に理解しているため、#1・2それぞれの意見をよく理解できますし、全体を俯瞰して合理的な判断を下すことができます
 

視点を上げ、よりよい部分と全体を意識する

合理的な判断ができないどころかコミュニケーションもままならない#1・2と、合理的な判断ができる#3の違いは何でしょうか?


それはより高い視点(=高い思考の抽象度)で全体を見ようとしたかどうかの違いです。


#3もはじめから全体が見えていたわけではなく、過去には#1・2と同じ様な状態だったはず。


しかし、#3はそこから思考の抽象度を上げ、更に本質を見ながら全体像を再構築しようと考え抜いた結果、多くの物事のつながりが理解できるようになったのです。

より視点を上げ、抽象度を上げて考えていこう

と心がけて考え続けることによって、#1・2もいずれ#3の視点を手に入れることが可能になります。
 

【ポイント②】情報の網羅性

「構造化の論理を使う際は、より上位の全体を押さえることが重要そうだ」とわかりましたが、合理的な判断のためには、抽象度をただひたすら上げればよいわけではありません


2つめのポイントは「情報の網羅性」です。


先ほどと同じ情報構造において、次のような#1~4の4人がいたとします。

#1
「X-A/B/C」を持っている(a~iは持っていない)
 
#2
「A-a/b/c」を持っている
 
#3
「B-d/e/f」を持っている
 
#4
「C-g/h/i」を持っている

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このケースにおいて最も高い視点を持っているのは#1ですが、#1だけでは合理的な意思決定を行うことは困難です。


なぜなら、#1は全体の論点を正しく設定できるが、具体的な情報をもっていないため、個別の検討が甘くなり、現実から乖離した判断になりかねないからです。
 

チームの力で必要な情報を網羅せよ

ではどうすべきかというと、a~iの情報を持っている#2~4と連携し、4人で話し合って1つの結論を導くことで、必要な情報を網羅することとなり、最も合理的な意思決定が可能になります

4人の関係は会社の上司と部下みたい

と思った方はまさにその通りで、#1を社長、#2~4を各部署の責任者と置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。


組織の最上位から最下位までのすべての情報を網羅できる人はいませんので、それぞれが共通部分を持ちながらも異なる視点(=抽象度)に立って議論することが重要です。

優秀なトップならいつでも正しい意思決定ができる

という訳ではなく、必要な情報を網羅し、論理的に思考できるチームメンバーを揃えることで正しい意思決定ができるのです。
 

まとめ

以上、「構造化」(部分と全体の論理)について、なぜこの論理の型が合理的な意思決定に欠かせないのかを解説してきました。


長くなったので要点をまとめると

【問題】「42×48=?」の例
直感で判断を進めると、合理的な判断に必要な情報に抜け漏れが生じるおそれがある。
「構造化」を意識し、全体をきちんと把握して、必要な情報を十分に集めてから意思決定を行うこと。
 
【ポイント①】視点の高さ(思考の抽象度の高さ)
視点の低い人と高い人を比べると、視点の高い人の方がより合理的な判断ができる
 
【ポイント②】情報の網羅性
現実的にはすべての情報を1人の人間で網羅することは不可能なので、チームで機能を分担し、必要な情報を網羅しながら論理的に思考できるチームメンバーを揃えることが重要。

ある情報をそのままで理解するのではなく、部分と全体の構造を常に意識しながら自分なりに情報収集し、思考することが大切であると伝われば幸いです。
 

推薦図書

最後に、「構造化」の論理的思考力を育むための実践的な推薦図書を2冊ご紹介します。


1冊目は、「構造化」の論理展開の実践方法をより具体的に紹介したこちらの書籍です。

コンサルタント志望者向けの書籍であり、少々内容も難しめですが、この記事を読んだ後に読む本としては一読の価値があります。


また、データ分析など、より実務に近いレベルでの実践方法を理解したい人には、こちらの書籍がおすすめです。

この本については解説記事も書いていますので、以下のリンクもご参照ください。

おわりに

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「構造化」という論理展開の必要性について解説しました。


論理的思考を支える「論理の型」は「言い換え」「構造化」「因果関係」の3つですので、興味関心や必要性がある順に一つずつ学んでいきましょう。


引き続き「言い換え」「構造化」「因果関係」の3つの論理の型についての解説を増やしていきますので、TwitterのフォローやSNSでの記事のシェアなどよろしくお願い致します。

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