ウワノキカクのキカクメモ│問題解決のための論理・ロジカルシンキング

問題解決のためのロジカルシンキングを学ぶためのブログです。

論理的思考を実務で使う4つのコツ『ポケットMBAロジカル・シンキング』のまとめ

論理的思考を実務で使うには具体的にどうしたらいい?

というお悩みがあるかと思います。


このブログでは論理的思考の全体像とツールはお伝えしていますが、具体的な実践に近いところは解説できていませんでした。


そこで今回は

・論理的思考をビジネス実務で使う4つのコツ

『ポケットMBAロジカル・シンキング』を紹介しながら解説します。

論理的思考を実務の中で活用するには?

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論理的思考をビジネス実務で活用する

論理的思考とは、言い換え・構造化・因果関係という3つの論理のルールを活用しながら、主張を支える理由を作り込むことだと解説してきました。

この考え方を日々の実務で使いこなすにはもう一段階具体の方にブレイクダウンして考える必要があります。


論理的思考がビジネスの中で最も求められるのは、何らかの意思決定を下すときです。

・このデータから何が言えるのか?
・どんな仮説が立てられるのか?
・複数案のうちどれに決めればいいのか?

経営判断から現場の日々の作業まで、正しい意思決定を支えるのが論理的思考です。

具体的にどうやって論理的思考を意思決定に使うの?

というと、今回紹介する『ポケットMBAロジカル・シンキング』では、ビジネス実務の中では大きく分けて以下の4つのシーンで活用するとまとめられています。

論理的思考を実務で使う4つのシーン

  • 分析:「良い分析」をするにはどうすればよいか?
  • 評価:分析をどう評価するのか?
  • 仮説:どうやって仮説を立てるか?
  • 選択:どうやって選択するか?

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情報を分析して評価を決め、複数の仮説を作り、選択する

この様な意思決定の流れの中でどの様に論理的思考を活用するのか、具体的に解説していきます。

『ポケットMBAロジカル・シンキング』とは

『ポケットMBAロジカル・シンキング』は、論理的思考の基礎的な理解を押さえた上で

どうやったら日々の実務で効果的に実践できるか?

に焦点を当てた一冊です。このブログを読んでくださっている方なら、論理的思考の基礎的な理解は十分かと思います。


その理解を積極的に毎日の仕事の中で使うことにこだわって解説されています。基礎レベルに徹底して書かれているので、内容も非常に読みやすいです。若手の社会人の方やこれから思考スキルを上げていきたいと考えている方の実践面での助けになってくれます。

論理的思考を実務で活用する4つのコツ

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分析:「良い分析」をするにはどうすればよいか?

さて、ここからが本題です。判断・意思決定には分析が不可欠。与えられた情報や調べたデータをもとに的確な「良い分析」をするにはどうしたらよいでしょうか。


例えば、あるお店の来店人数が前月300人だったところ、今月は400人に増えたことに気づいたとします。

情報やデータを見たらまずは分析!

と考えることが大切です。分析せずにいきなり意思決定につなげてしまうと

・今月から始めた取り組みが上手く行っているようだ!
→来月も同じやり方で継続しよう
・たった一ヶ月で33%もお客様が増えて忙しくなった!
アルバイトを増やして対応しよう

感覚的な思い込みをベースに意思決定することになりかねません。


そこで「まずは分析」と考えて、「なぜ100人も増えたのか?」「どんなお客様が増えたのか?」を明らかにすることにします。前月と今月のお客様をセグメントし、どんなお客様が増えたのかを分析するため以下の2つのグラフを作りました。

・グラフ1:10代・20代・30代と10歳毎の年代軸で比較
→10代・20代がそれぞれ50人ずつ増えている
・グラフ2:高校生(~18歳)・大学生(19~22歳)・社会人(23歳~)と属性軸で比較
→大学生が100人増えている

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分析の仕方によって得られる結論が変わる!

ということが2つのグラフを比較すると明らかです。グラフ1からは「30代以外が増えている」と見えますが、グラフ2からは明らかに「大学生が100人増えた」「他は変わらない」ということがはっきりとわかります。この分析を見て

そういえば今月から大学生は夏休みに入ったんだ!

と気づければ、今月のお客様が増えた原因がとてもよく分かります。


ここで大事なのは、こうした分析をする前には

・今月から始めた取り組みが上手く行っているようだ!
→来月も同じやり方で継続しよう
・たった一ヶ月で33%もお客様が増えて忙しくなった!
アルバイトを増やして対応しよう

と考えていましたが、分析をしてみるといずれも正しくない判断だったことがよく分かります。


増えた原因は、単純に「大学が夏休みになって大学生が増えたから」。大学生だけに絞った取り組みを行ったのではなければ、今月の取り組みはむしろ失敗だったことが明らかです。大学の夏休み期間も終わりがわかっているので、その期間のみの短期アルバイト以外はしろ無駄になってしまうでしょう。

データは必ず分析し、分析の際は複数の軸で試してみよう!

というのが分析のコツです。明確な違いが分かる切り口が見つけられるよう試行錯誤してみましょう。

評価:分析をどう評価するのか?

続いて評価です。

「分析」も「評価」も一緒じゃないの?

と思われがちですが、以下のようなケースを考えるとこれらの違いがよく分かります。


あるお店の年間利益が、昨年80万円だったところ今年は100万円であったことが明らかになりました。この「20万円分利益が増えた」ということをどの様に評価すべきでしょうか?これだけの情報だと

たった1年で25%も増えたなんてすごいことじゃないか

と評価するかもしれません。そこで「20万円分利益が増えた」を表す3種類の以下のグラフを比較してみてください。
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・【前提】毎年ほぼ一定
→特に変化はない
・【前提】年々成長していた
→成長は鈍化した
・【前提】今年だけ増えた
→成果が生まれた

過去4年間の経年データを上記の前提で比較してみると、同じ「20万円分利益が増えた」という事実からも、評価の仕方が大きく変わってくることがよくわかります。


先の「分析」では、意味のある違いを見つけることがポイントでした。そして「評価」では、その違いについて

・その違いは本当に意味のある違いなのか?
・意味のある違いならば、どの程度すごいと言えるのか?

こうしたことを絶対的・相対的に評価することが求められます。

今期は1000万円の利益が出た!

といっても、従業員が1人の会社と1,000人の会社では評価が全く変わります

その違いは、どの程度意味のある違いなのか?

と意識的に問うことが2つ目のコツです。

仮説:どうやって仮説を立てるか?

3つ目は仮説です。このブログでは仮説思考の考え方を積極的に紹介しています。

そこではとにかく因果関係で考えることの重要性を主張しておりますが、仮説とはまさに因果関係の仮説のことを指します。


例えば「東京エリアで商品Aの売り上げが10%増えている」という事実があったときに

■仮説①
【原因】プロモーションが良かった
 ↓
【類推】東京エリアで商品Bの売上も増えている
 ↓
【予測】プロモーションが続く限りこの傾向はしばらく続く
 
■仮説②
【原因】都市部を中心に顧客の嗜好が変わってきた
 ↓
【類推】関西エリアでも商品Aの売上が増えている
 ↓
【予測】数年遅れで地方にもこの影響が波及する

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この様に複数の仮説のシナリオが考えられます。たった1つの事実からは物事の全体像はわかりませんが、考えうる仮説を持っておくことで日々の意思決定の精度は格段に上がります。このときのポイントは

1つの事実から「過去→現在→未来」と続く一連の仮説のストーリーを作る

という考え方です。

・原因は~だろう
・今後…になるだろう

という類推を過去だけ、未来だけと考えるのではなく

・原因は~だろう。ということは、現在…になっており、今後は-になるはずだ

「過去→現在→未来」の一貫したストーリーを想定する!

というやり方で仮説の妥当性がよりリアルに検証できるようになります。

選択:どうやって選択するか?

最後に選択です。分析→評価→仮説と検討が進んできて、いよいよ最後には複数の仮説やアイデアから何か1つを選択することが必要です。


選択のポイントは、予め合理的な意思決定基準を決めておくというやり方です。

▼複数案を一定基準で比較する
基準A・B・C…と具体的な判定基準を複数決めておき、それぞれに点数をつけて複数案を総合点で比較する。
例:新商品の最終候補3案を「美味しさ」「製造コスト」「新奇性」の観点から、それぞれ5点満点で評価し、総合点の高いものを選択する
 
▼合理性を総合的に判断する
1つのアイデアに対して「実施するメリット/デメリット」「実施しないメリット/デメリット」の4象限を書き出し、総合的に判断する

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もちろん、必要な関係者で議論して意思決定を行うわけですが、その際にいきなり各案の中身に入るのではなく

・今回の判断では何が重要な要素になるか?
・どんな基準で評価するか?
・どういう手法・手続きで決めるか?

を先に明確にすることで、公平かつ的確な選択が可能になります。

いきなり決めずに、決め方を決めるところからはじめよう!

というのが最後のコツです。

4つのコツと推薦図書

今回紹介したのは以下の4つのコツでした。

分析:データは必ず分析し、分析の際は複数の軸で試してみよう!
評価:その違いは、どの程度意味のある違いなのか?
仮説:「過去→現在→未来」の一貫したストーリーを想定する!
選択:いきなり決めずに、決め方を決めるところからはじめよう!

「分析→評価→仮説→選択」はまさにビジネスの意思決定プロセスそのものです。この記事では大まかなことしかご紹介出来ませんでしたが、更に具体的・実践的に学びたい方には『ポケットMBAロジカル・シンキング』はオススメの一冊です。

論理的思考を動画で学ぶ

論理的思考・ロジカルシンキングの具体的な実践方法は動画サービスで学ぶことも可能です。無料体験期間もありますので、更に実践的に学びたい方には動画が非常におすすめです。

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というのは間違いないと思いますので、本格的に学びたい方にはおすすめです。


おわりに

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学んだ論理的思考をビジネスの実務で活用する!

というのが今回のテーマでした。


考え方やツールを学んでも、日々の実践に落とし込めなければ変化には繋がりません。実践をガイドする情報をうまく活用しながら、仕事の成果につなげていきましょう。

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