この記事は【問題編】を受けての【解答編】になります。
- 【解答編】論理的思考力・問題解決能力のテスト
- 問題を理解する【問題定義】
- 「うまくいかない理由」を考える【現状分析】
- 解決策をつくる【解決策の立案】
- "Out of the box!"ルールを疑え、ルールを作れ!
- 論理的思考・問題解決スキルを手軽に学ぶ
- おわりに
【解答編】論理的思考力・問題解決能力のテスト
早速、解答からまいります。
解答例
「あなたは、私が『赤い扉が正解ですか』と聞いたら、『Yes』と言いますか?」と聞く
(検証)
→回答が「Yes」なら赤い扉に、「No」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「Yes」
悪魔「Yes」
▼青い扉が正解のとき
天使「No」
悪魔「No」
<別解1>
「もうひとりの妖精は『赤い扉が正解だ』と言いますか?」と聞く
(検証)
→ 回答が「No」なら赤い扉に、「Yes」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「No」(もう一方の悪魔は嘘をついて「No」と言うから)
悪魔「No」(もう一方の天使は「Yes」と言うから)
▼青い扉が正解のとき
天使「Yes」(もう一方の悪魔は嘘をついて「Yes」と言うから)
悪魔「Yes」(もう一方の天使は「No」と言うから)
<別解2>
「天使は正解、悪魔は不正解の扉に入らなければならないとしたとき、あなたは赤い扉に入りますか?」と聞く
(検証)
→ 回答が「Yes」なら赤い扉に、「No」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「Yes」(正解の赤い扉に入るため)
悪魔「Yes」(不正解の青い扉に入ることになり本当は「No」だが、嘘をつくため)
▼青い扉が正解のとき
天使「No」(正解の赤い扉に入るため)
悪魔「No」(不正解の青い扉に入ることになり本当は「Yes」だが、嘘をつくため)
実際に妖精と扉のバリエーションを考えながら検証してみて、全ての条件で適切な回答が得られればOKです。
さて、答えにたどり着いた方もそうでない方も
「どうやって正しい答えにたどり着くのか?」という思考プロセスを鍛錬しよう!
問題を理解する【問題定義】
「何が問題なのか?」が実はよくわからない
問題文を一読すると「天使と悪魔」の類題を考えたことが無い方にとっては、何が何なのかよくわからないところからのスタートです。
天使は正直者で悪魔は嘘つき
テスト①妖精Aに「赤い扉は正解ですか?」と質問する
▼赤い扉が正解のとき
天使「Yes」 悪魔「No」
▼青い扉が正解のとき
天使「No」 悪魔「Yes」
→赤い扉が正解か不正解か判断がつかない
テスト②妖精Aに「あなたは天使ですか?」と質問する
・妖精Aが天使のとき「Yes」
・妖精Aが悪魔のとき「Yes」
→妖精Aが天使か悪魔か判断がつかない
つまり、悪魔が嘘をつくことによって話がややこしくなり、普通に質問してしまうと正確な情報を得ることができないのです。
与えられた設問文に書いてあるのは「確実に正解の扉を選び出すための質問」を見つけなさいということでしたが、はじめは一読してもその意味はよくわかりませんでした。しかし、上記のようにテストしてみたことで
どうやら一筋縄ではいかないぞ…!
問題を定義する
思考を途絶えさせないために、まずは問題をはっきりと定義します。問題解決において「問題」とは、与えられた設問文のことではなく「理想(ゴール・目標)と現状のギャップ」と定義します。今回もその定義にあてはめて整理すると…
◆理想(ゴール・目標)
「確実に正解の扉を選び出すための質問」が見つかっている
◆現状
その質問がわからない
これがスタート地点でした。そこに、上記でいくつかテストしてわかったことを「現状」として書き込むと…
◆現状【更新】
「赤い扉は正解ですか?」と質問すると、天使と悪魔がそれぞれ反対の答えを言ってしまうため、判断がつかない
と言い換えることができます。この理解を前提にすると、理想的な状態はこの様に言うことができます。
◆理想(ゴール・目標)【更新】
扉について質問したときに、天使と悪魔がそれぞれ同じ答えを言ってくれて、その扉が正解か不正解かの判断ができている
この様に理想と現状を整理できると、「問題」は
◆解くべき問題
天使と悪魔が「同じ答えを言う」「扉についての質問」は何か?
と書くことができます。ここまで問題が具体的に言い換えられると
では、どうやって扉の話をしながら天使と悪魔の答えを一致させよう?
✓ 問題解決において「問題」とは「理想と現実のギャップ」である
✓ 何をどうしたらよいかわかなくなったときは、理想的な状態と現状を具体的に整理し、自分の言葉で問題を具体的に定義する
「うまくいかない理由」を考える【現状分析】
「うまくいかない理由」は?
ここでいきなり解決策のアイデアを出しても構いませんが、まだ何もヒントがありませんので苦労するかと思います。論理的思考をフル活用するとさらなるヒントを得ることができます。
問題が定義できたら
今の考え方ではなぜうまくいかないのか?
テスト①で妖精Aに「赤い扉は正解ですか?」と質問するだけではうまくいかない理由は
悪魔が嘘をつくと天使と悪魔の答えが反対になってしまって判断がつかないから
ところが、テスト②では
テスト②妖精Aに「あなたは天使ですか?」と質問する
・妖精Aが天使のとき「Yes」
・妖精Aが悪魔のとき「Yes」
→2人の答えが一致する
というように、天使と悪魔の答えが一致しています。つまり
質問の仕方によっては天使と悪魔が同じ答えを言うということもある
解決策のヒントを得る
ここでもう一つテストをしてみましょう。
テスト③妖精Aに「妖精Bは天使ですか?」と質問する
・妖精Aが天使、妖精Bが悪魔のとき「No」
・妖精Aが悪魔、妖精Bが天使のとき「No」
→2人の答えが一致する
テスト②とテスト③からわかることは何でしょうか?じーっとみて考えてみてください。
2つのテストからわかること。それは
「妖精について質問すると2人の答えが一致するようだ」
✓ 扉の正解・不正解を判断できる
✓ 妖精について質問している
少なくともこの2つの条件が同時に成り立つことが答えとしては必要になりそうです。
ここまで、問題を定義した上で「なぜ現状ではうまく解決できないのか?」と問いながら「うまくいかない理由」を考えました。その理由が特定できて、取り除くことができれば問題は解決することができるはずです。
✓ 現状のやり方では「うまくいかない理由」を考えるとヒントが得られる
✓ その理由を取り除くことができれば問題は解決する
解決策をつくる【解決策の立案】
解決策を作るのはアイデア発想の力
ここからいよいよ解決策を作っていきます。得られたヒント
✓ 扉の正解・不正解を判断できる
✓ 妖精について質問している
という条件を見ながら具体的な質問のアイデアを考えてみます。
ここから解決策に至るまでは、アイデア発想の力が必要です。論理的思考は課題を特定して「こんな要素が必要だよ!」と必要条件を明確にするところまでは役に立ちますが、それを具体的に作り上げるのはアイデア発想の領域になり、論理的思考だけでは解決できません。論理的思考はあくまで与えられた情報を整理するためのルールであり、そのルールを活用して具体的な解決策を作るところには、どうしてもアイデアを生み出すことが必要です。ヒントを参考にしながら、あれこれ試行錯誤していきましょう。
解決策を検証する
アイデアの出し方はそれぞれですが、ヒントから導き出すとこんなことが考えられるのではないでしょうか。
解答例
「あなたは、私が『赤い扉が正解ですか』と聞いたら、『Yes』と言いますか?」と聞く
(検証)
→回答が「Yes」なら赤い扉に、「No」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「Yes」
悪魔「Yes」
▼青い扉が正解のとき
天使「No」
悪魔「No」
<別解1>
「もうひとりの妖精は『赤い扉が正解だ』と言いますか?」と聞く
(検証)
→ 回答が「No」なら赤い扉に、「Yes」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「No」(もう一方の悪魔は嘘をついて「No」と言うから)
悪魔「No」(もう一方の天使は「Yes」と言うから)
▼青い扉が正解のとき
天使「Yes」(もう一方の悪魔は嘘をついて「Yes」と言うから)
悪魔「Yes」(もう一方の天使は「No」と言うから)
得られた質問を実際に検証して、論理的に正しければ正解です!
✓ 論理的思考は必要条件は教えてくれるが、「答えそのもの」は導き出せない
✓ 答えの条件を論理的に絞り込み、アイデア発想で答えを作ろう
"Out of the box!"ルールを疑え、ルールを作れ!
ルールを作る思考法
ここまでは論理的思考をベースに解答を導く方法を説明し、「解答例」「別解1」の説明をしてきましたが、冒頭の解答では次の「別解2」をご紹介しています。
<別解2>
「天使は正解、悪魔は不正解の扉に入らなければならないとしたとき、あなたは赤い扉に入りますか?」と聞く
(検証)
→ 回答が「Yes」なら赤い扉に、「No」なら青い扉に入ればよい
▼赤い扉が正解のとき
天使「Yes」(正解の赤い扉に入るため)
悪魔「Yes」(不正解の青い扉に入ることになり本当は「No」だが、嘘をつくため)
▼青い扉が正解のとき
天使「No」(正解の赤い扉に入るため)
悪魔「No」(不正解の青い扉に入ることになり本当は「Yes」だが、嘘をつくため)
これはどういう考え方来ているかというと
「"Out of the box!"ルールを疑え、ルールを作れ!」
この「別解2」では「天使は正解、悪魔は不正解の扉に入らなければならないとしたとき」という新しいルールを設定してます。このルールは既存のルールと齟齬がありませんし、「勝手にルールを設定してはいけない」という条件ももちろん言われていませんので、解答として十分に成り立ちます。
ルールを疑え!
逆に、既存のルールに抵触する新たなルールを設定することもできます。例えば「この質問にだけは天使も悪魔も必ず真実で答えてください。赤い扉は正解ですか?」と元も子もない質問をすることも考えられます。ただし、これは既存のルールと新しいルールのどちらを適用すべきかで矛盾・葛藤が生じていますので、現実の問題解決を想定すると、例えばあなたが天使と悪魔の上司で「俺の言うとおりにしないと解雇するぞ」と強く睨みを効かせて言えれば有効かもしれませんし、どうなるかわかりません。
論理的思考のテストとしてはこの解答はNGですが、現実の問題解決の現場では非常に重要な視点です。特に、既存のルールが合理的ではない場合には、「そもそもそんな既成概念にとらわれるのはおかしい!」と言って、新たなルールをぶちあげることができれば、非常に大きな成果をあげることができます。ぜひ、問題解決能力を鍛えるという点では、この「ルールを疑え、ルールを作れ!」という指針も持っておくと良いかと思います。
✓ 問題解決においては「ルールを疑え、ルールを作れ!」という指針も重要
✓ 新たなルールをつくることでより効果の高い問題解決が行える
論理的思考・問題解決スキルを手軽に学ぶ
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文章を読むより動画で学ぶ方が分かりやすい!
おわりに
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<総論>
◆【第1講】「考える」の実践的定義を学ぶ
◆【第2講】論理的思考の本質を理解する
◆【第3講】論理を使って「理由」を深堀りする方法
◆【第4講】論理的思考の完全講義【図解】
<各論>
◆構造化の思考「ロジックツリー」実践上のポイント
◆因果関係の思考とは何か
◆因果関係の思考「ブランチ」実践上のポイント
◆論理的思考・合理的判断をインストールし組織の業績・パフォーマンスを高めるには?
<商品販売>
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◆「なぜ論理的思考が必要なのか?」ロジカルシンキング研修資料の冒頭をご紹介
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<まとめ>
◆論理的思考の基礎講座
◆思考法・問題解決【全体解説】
◆本質思考の基礎講座
◆仮説思考の基礎講座